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* category: 展覧会

パリ♡グラフィック展(三菱一号館美術館) ブロガー内覧会に参加しました。 

2017.11.12
Sun
17:42

 10月8日(水)~2018年1月8日(月・祝)開催の
『パリ♡グラフィック 展 ロートレックとアートになったポスター展』(公式ウェブサイトはこちら
のブロガー特別内覧会に参加しました。関係者のみなさま、ありがとうございました。

DSC_0222.jpg
 カタログ、という位置づけでいいのかな? 
 収録作のナンバリングは展覧会とは別です。

 芸術品の価値に、「唯一無二の存在」というのがあると思いませんか? すくなくとも、わたしはそう思っていました。
 そうすると、「版画がほとんど」→「たくさんあるものから集めてるし、印刷物なんだから印刷(本とか)を通して見てもそんなに変わらないかもー」→「そういう展覧会だったら無理にはいいかな」……みたいな考えも成り立つかなと。
 でもそうじゃないんだ。すくなくとも、この展覧会を見たあとのわたしは、そうだとは「限らない」ってことをさらに強く思うようになったんだ。
 と、大袈裟ながら思った体験でした。

*以下の写真は、特別な許可を得て撮影したものです。

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・ウジェーヌ・グラッセ<版画とポスター(『版画とポスター』誌のためのポスター)> 1897年 ファン・ゴッホ美術館蔵
 第一展示室の最初に配置されたのがこの作品です。
 しっかりと紙挟みを抱え、不快そうな表情を浮かべている黒衣の女性は、個人(収集家)向けの版画を象徴。
 彼女にちょっかいかけてる朗らかな様子(ついでに露出度の多い服)の女性は、大衆向け版画を象徴。

 カタログp.19から引用します。
「この本では、グラッセの版画にはっきりと視覚化されている潮流を順に論じていく。個人向けの版画と大衆向けの版画という当初激しく引き裂かれていた二つの世界については、第一部と第二部で比較を行う。続く第三部では、批評家や画商や収集家の関与を通じて二つの世界が徐々に重なりあっていくさまを紹介する」
 展覧会の構成も同じです。

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・ルイ・カリエ=ペルーズ<鍋修理> 1882年 個人蔵
 二枚目はこちら。
 前景にはたしかに鍋修理の少年が配置されていますが、その右に描かれた身なりのいい男女は壁を埋めつくすポスターだけを見ています。

 この部屋には「三つのジムノペディ」(1888年)や「あなたがほしい」Je te veux (1900年)など、エリック・サティのピアノ曲が流れていました。この展覧会が扱う作品や社会とは同時代。また、展覧会を開催している三菱一号館美術館のもとの建物が竣工したのもこのころ、1894年です。三菱一号館美術館は展示室のサイズ(大きいものも他と比べると大きくはない)やしつらえが特徴的で、その「場」にあった企画を立てるのがうまいよね。もちろん、今回もです。 

 次の部屋にはロートレック作の人物画がずらりと並び、うまいなー。ちょこっといじわるな視点がぴりっと効いてるんだよね。と思わせます(お楽しみに)。

 通路、そしてもうひとつの展示室を経て、三菱一号館美術館最大の部屋にたどりつきます。
 本展覧会では、この部屋の一角に展示された作品の撮影OKとなっています。



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(右より)
・アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック <アリスティド・ブリュアン、彼のキャバレーにて> 1893年 三菱一号館美術館蔵
・アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック<エルドラド、アリスティド・ブリュアン> 1892年 三菱一号館美術館蔵
・アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック<コーデュー> 1893年 三菱一号館美術館蔵
 当時の街角写真を壁紙とし、大きなポスターを張り出したかたち。ブリュアンの肉声録音も流れ、さらに当時にわたしたちを近づけようとしてくれています。

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・アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック<ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ> 1891年 三菱一号館美術館蔵
 ロートレックというと思い出す作品のひとつでは?
 もともとポスターとして作成されたものですが、驚くほど状態が良好です。
 それは、三菱一号館美術館の収蔵品がジョワイヤン・コレクションに由来するからだそうです。

 展覧会サイトから引用します。
「三菱一号館美術館では、ロートレックが生前アトリエに保管し、画家の親友で、ゴッホの弟テオの画廊を後継したモーリス・ジョワイヤンが引き継いだ250点余りのグラフィック・コレクションを所蔵しています。保存状態の良いリトグラフやポスターの主要作品に加え、市場には出なかった試し刷りなど、画家の制作過程がうかがえる貴重な作品が数多く含まれています」

 この<ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ>は、上野の国立西洋美術館で開催中の『北斎とジャポニスム』でも展示中ですが、カタログを見ると「違う」ことがよくわかります(ギャラリートークで、〔ロートレックが手元に残しておいたものだから、実際に張りだす前につけくわえられた文字が「ない」というコメントがありました)。わたしはこの日、まず上野で北斎、ゴッホ(都美)、古代アンデス文明(科博)を見てからブロガー内覧会に行ったので、カタログで見比べると、北斎展での展示作には下方に「ムーラン・ルージュ」「水曜日と土曜日」「仮面舞踏会」という意のコピーが赤系の文字で加わっています(カタログp.105。パリ♡グラフィック展カタログではp.13。発色については印刷物だから比べられない)。

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・カミーユ・マルタン<『レスタンプ・オリジナル』第2年次の表紙> 1894年 三菱一号館美術館蔵
 ストリートに張りだされる「大衆向け」のポスターに利用される一方、独立した芸術作品として収集の対象となる版画も多く生まれていきます。たとえば、ヴァロットン展でも見ることができた<アンティミテ>連作などがこのタイプです。
『レスタンプ・オリジナル』は、
「『オリジナル』な芸術家の、『オリジナル版画』を載せた」(カタログp.25)同名の先行雑誌と同じタイトルのもと、「『際立った、新しい才能を紹介する場をなること』と『今この時代の芸術の証人となること』をめざしてつくられた」(同)版画集です。 

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・(左) アンリ・ラシュー<装飾パネル(『レスタンプ・オリジナル』より> 1893年 三菱一号館美術館蔵
・(右) ポール=エリー・ランソン <密林の虎> 1893年 三菱一号館美術館蔵
『レスタンプ・オリジナル』よりもう一枚。すぐ上のと同じく、浮世絵に通じる世界ではないですか?
 本展では、最後の部屋に、ゴッホが収蔵していた浮世絵の展示もあります。広重、国芳、国貞など。 
 ランソンの虎は、このあとの猫特集(! 勝手に開催)の前触れ的に。

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・(右)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック <ロイ・フラー嬢> 1893年 三菱一号館美術館蔵
・(左)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック <ロイ・フラー嬢>1893年 三菱一号館美術館蔵
 収集家が好む希少性を高めるには、もちろん、刷る部数を少なくおさえることがすぐ思いつくでしょうが、ロートレックはこの二枚のロイ・フラーのように、別の色を乗せることで「違い」を出すこともよくしていたそうです。 興味深い。
 別の展示室にあったロートレックの<婦人帽子屋ルネ・ヴェール>三枚も、同じ「もと」の違うステートが並んでいます。 

 小テーマとしてとくに興味を持ったのはふたつ。
 ひとつはちょう個人的テーマの「猫」ですが、もうひとつは、世紀末の芸術潮流のひとつ、象徴主義Symbolismeにつながる世界です。
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*参考写真。当時の「書斎」
 豪華なピエール・ロティの書斎などもありましたが、ユイスマンス(『さかしま』の作者)の部分を大きく。

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・(左)ジョルジュ・ド・フール<食(『神秘的で官能的なブルージュ』より> 1899年 ファン・ゴッホ美術館
・(右)ジョルジュ・ド・フール<奇妙な風景(『神秘的で官能的なブルージュ』より> 1899年 ファン・ゴッホ美術館
 また、ローデンバック『死都ブリュージュ』の世界につながる世界。

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・オディロン・ルドン<光の横顔> 1886年 ファン・ゴッホ美術館蔵
 さらに、ルドン作の美しい横顔を。
 展示室として利用されていますが、暖炉を備えた形の部屋もあるこの美術館ならではの雰囲気が味わえました。 

 そして、もいろんなとこにいる展覧会でした!
 なにしろ図録にもこんなイラストがあしらわれてるのだからにして♡
(キャット空中三回転←古い か、はたまた夜廻り猫かみたいでしょう!)
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(カタログp.22より)

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 上のモチーフはここからですね。
・アンリ・リヴィエール<ジョルジュ・フラドジュール『月の光』上演のためのポスター> 1887年 ファン・ゴッホ美術館蔵
 劇場名がTeatre du Chat Noir 黒猫座 だからだな。きっと。

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 有名なポスターですね。
・テオフィル・アレクサンドル・スタンラン<シャ・ノワール巡業公演のためのポスター> 1896年 ファン・ゴッホ美術館蔵

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・テオフィル・アレクサンドル・スタンラン<ボディニエール画廊にて> 1894年 ファン・ゴッホ美術館蔵
 この構図(空白が大きい)は、画廊での展覧会告知文を入れる前の状態だからだそうです。
 すぐ上で紹介したポスターの黒猫と同じモデルなのかな? 

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・フェリックス・ヴァロットン<怠惰> 1896年 三菱一号館美術館蔵
 大好きな一枚。にょろんな白猫のかたちが絶妙だし、ベッドカバーの模様との対比もさすが。
 ヴァロットンたくさんありました! 
 白黒の構成を非常にうまく活かしている作品ばかりです。
 ギャラリートークで学芸員の野口さんから、〔この展覧会が実現したのは、先年開催のヴァロットン展がきっかけ〕という主旨のお話がありました。

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・(左)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック <メイ・ベルフォール> 1895年 三菱一号館美術館蔵
・(右)アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック  <メイ・ミルトン> 1895年 三菱一号館美術館蔵
 こちらのどっかにちんまい子がいます。ぜひ会場で確認してね!
 ふたりのメイはペアで構想されたそうなので、ここで並んだのは画家も本望かと。 

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 どうぶつつながりでこちらは犬。好きな一枚。好きなボナール。
・ ピエール・ボナール<小さな洗濯女> 1896年 ファン・ゴッホ美術館蔵
 これも上野でも見たよ! わんこかわゆー。
 ボナールはかなり数がありました。  

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・ピエール・ボナール<「フランス=シャンパン」のためのポスター> 1891年 ファン・ゴッホ美術館蔵
 かつては上流階級が独占していた「芸術作品」が、ポスターという形で街にあふれ一般大衆にも届くようになったこの時代、絵を描くひとの「デビュー」の形も変わりました。ボナールはそのひとり。ギャラリートークで、学芸員の藤田さんは、ボナールにとっては絵と版画は等価であり、ポスターでの商業的成功をスタートに名を馳せるようになったと話してくださいました。

 社会が変わるとき、芸術も変わる。
 大いに興味ある時代・場所についてすこし近づけたように思え、すばらしい体験をすることができました。また行こう。

〔展覧会概要〕
会   期 2017年10月18日(水)~2018年1月8日(月・祝)
開館時間 10:00~18:00(祝日を除く金曜、11月8日、12月13日、1月4日、1月5日は21:00まで)
        ※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜休館(但し、1月8日と、「トークフリーデー」の10月30日(月)、11月27日(月)、12月25日(月)は開館)
       年末年始休館:2017年12月29日~2018年1月1日
主   催 三菱一号館美術館 アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館、朝日新聞社
後   援 オランダ王国大使館
協   賛 大日本印刷
協   力 ヤマトロジスティクス(株)、エールフランス航空、KLMオランダ航空
お問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)
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* category: 展覧会

『カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち』展@パナソニック汐留ミュージアム 

2017.10.19
Thu
11:30

 10月17日(火)~12月20日(水)開催の
『表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち』展(公式ページはこちら
のプレス内覧会に、ブログ・SNS枠で参加しました。関係者のみなさま、ありがとうございました。

 パナソニック汐留ミュージアムはルオー作品を常設展示する一室があり、これまでにもルオーと他の画家を結びつけた展示をしてきたのですが、今回は〔色〕をキーワードに、カンディンスキーと、さらにドイツ表現主義およびクレーが登場します。
〔カンディンスキー〕そして〔色〕というキーワードにとびついて内覧会応募したら、これも好きなドイツ表現主義、クレーの作品も見れて充実でした。作品の写真を何枚かあげてご紹介します。ただし、ルオーは著作権が切れていないため撮影NGとのこと。ぜひ美術館にて!

*以下の写真は、特別な許可を得て撮影したものです。

 展示は三部構成。

・第1章 カンディンスキーとルオーの交差点
 第一室はカンディンスキーとルオーの初期作品に捧げられています。
 カンディンスキーは1866年ロシア生まれ、画家を志して最初に出た外国はドイツ(ミュンヘン)でした。1896年、当時30歳。

 その5歳下、1871年に生まれのルオーはパリ生まれ。最初はステンドグラスの職人見習をしていましたが、やがて、当時モローが校長をしていた国立美術学校に入学します(このふたりの結びつきにひかりを当てた展覧会も、パナソニック汐留ミュージアムで2013年開催→紹介ページ)。



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 ヴァシリー・カンディンスキー<<水門>> 1902年 宮城県美術館

 ルオーとカンディンスキーの「共演」は1904年のサロン・ドートンヌがはじまり(1910年まで出品とのこと)。サロン・ドートンヌはルオーも創設者のひとりで、もちろん出品もしていました。

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 ヴァシリー・カンディンスキー<<商人たちの到着>> 1905年 宮城県美術館
 カンディンスキーが1905年に出品した三作のうちのひとつ。
 1905年、サロン・ドートンヌというと、あの「野獣派」と訳されることがあるフォビーヴィスムFauvismが〔誕生〕した展覧会でもあります。
 
 この部屋に展示されていたルオーの作品のなかでは、<<法廷 >>(1909年)という作品に目を引かれました。全体的に暗いトーンで、近寄らないとどんな光景なのかもわかりにくいのですが、そのなかで判事たちの法衣の赤が鮮やか。というと「法の正義」の力強さが表現されているかのように読めますが……。ぜひ、その場で確かめてみてください。
 
・第2章 色の冒険者たちの共鳴
 配布されたプレス資料から紹介します。

(引用)
 不安や焦りなど個人の精神のありようを色彩や形態に置き換えて表現しようとしたドイツ表現主義の運動は、ドレスデンのグループ「ブリュッケ」を端緒として、ミュンヘンのカンディンスキーが新しく始めた「青騎士」の活動へと緩やかにまとまりながら展開します。彼らは、自然回帰的でプリミティブ(原始文明)な表現や、「今ここ」からは失われた中世や古代などの理想化された光景を表現に取り入れました。彼らと、人間や事物の外見を超えて本質に迫ろうとしたルオーには、背景となる文化を越えた同時代的な親和性が感じられます。
(引用終わり)

 この部屋では、あえてキャプションを作品のすぐ近くには置かず、テーマごとに展示する試みがありました。

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(左から)
・エーリヒ・ヘッケル<<木彫りのある静物>> 1913年 広島県立美術館
・マックス・ペヒシュタイン<<森で>> 1919年 高知県立美術館
・ハインリヒ・カンペンドンク<<少女と白鳥>> 1919年 高知県立美術館

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 ハインリヒ・カンペンドンク<<郊外の農民>> 1918年頃 宮城県美術館
*この絵は別の壁面に展示。
 カンペンドンクは今まで意識したことがなかったのですが、この絵そして上にあげた<<少女と白鳥>>が気に入りました。ちょっと調べてみたら[マルクの動物画に影響を受けた]という記述も見つかり、それで好きなのかな、とも。
<<郊外の農民>>はシャガールが故郷を描いた絵などを想起させるものでしたが、動物のかわいらしさ、単純化された女性の横顔のちょっとした愛嬌に惹かれて細かく見ると、左の馬の背中あたりに謎のにょろんと長い腕(?)が伸びていたり、郊外と言ってももちろん鉄塔があったり、どこか不穏なものも隠れているのが複雑な味でした。 

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 マックス・ペヒシュタイン 版画集『われらの父』より 1921年 宮城県美術館
 聖書や神話世界も展示テーマのひとつ。ペヒシュタインのこの連作はズバリ『われらの父』(つまり神)です。会期中、展示替えがあるそうです。

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(左) ヴァシリー・カンディンスキー<<「E.R.キャンベルのための壁画No.4」の習作(カーニバル・冬)>> 1914年 宮城県美術館
(右) ガブリエーレ・ミュンター<<抽象的コンポジション>> 1917年 横浜美術館
*この展覧会を通し、「カンディンスキーの表現の展開を語る重要な3作品が登場」(プレスより)するのですが、その二枚目がこれ。一枚目は展覧会のキービジュアルとしてチラシなどにも使われている<<商人たちの到着>>です。隣に置かれた絵の作者、ミュンターはカンディンスキーの恋人。

 第二部のルオー作品では、人物の顔を大きく描いた作品-<<ヒンデンブルク>>、<<自画像>>(左目はかげになり、こちらをぎろりと見ている右目に浮ぶ怯えや絶望)、<<アヌーシュカ>>と、踊る骸骨絵が強く印象に残っています。これらの作品の多くはパリのルオー財団所蔵か、ルオー財団が協力して来日した個人蔵。パリからは約20点の初来日を含む約40点の作品が来日しているそうです(プレスより)。

・第3章 カンディンスキー、クレー、ルオー -それぞれの飛翔


 クレーの作品は第二章にも登場。とくに好きな並びだけここに載せます。 
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(左) パウル・クレー <<グラジオラスの静物>> 1932年 宮城県美術館
(右)パウル・クレー <<橋の傍らの三軒の家>> 1922年 宮城県美術館

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 ヴァシリー・カンディンスキー <<活気ある安定>> 1937年 宮城県美術館
 そしてカンディンスキーの表現の展開を知るキー、三枚目がこちら。
 上掲の二枚と比べ、色の強度がぜんぜん違う。いまはあまり使われない用語だということですが、こっちが「冷たい」抽象という感じがします。それでもカラフルな魚や音符などがあり、ささやきというか身をのんびり揺するような動きもあり、タイトル<<活気ある安定>>はまさに、と思いました。

 ルオーの作品は最後の部屋にずらっと並びます。<<学者ぶる人>>、<<ウラリー>>など、「顔」を描いたもの、そしてキリストが現れる宗教画など。こちらも、ほとんどがパリから来日した作品が並んでいます。

 また、展覧会の終わりにPhoto and Networkという最新自撮システムも設置されていました。
 展覧会ウェブページから引用します。

 PHOTO AND NETWORK
記念撮影コーナーで、パナソニックとNTTコミュニケーションズが提供するカメラシェアリングサービス「PaN」をご体験いただけます。「PaN」で撮った写真をスマホやパソコンにダウンロードしてお楽しみください。
※システム利用は無料ですが、画像のダウンロードには別途通信費がかかります。

・・・・・展覧会概要・・・・・
開館期間  2017年10月17日(火)~12月20日(水)
開館時間  午前10時より午後6時まで(ご入館は午後5時30分まで)
休館日   水曜日(ただし12/6、13、20は開館)
入館料   一般:1000円、65歳以上:900円、大学生:700円、中・高校生:500円 小学生以下無料 
 20名以上の団体は100円割引。障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料で入館可
主催    パナソニック 汐留ミュージアム、NHK、NHKプロモーション
後援    在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、ドイツ連邦共和国大使館、港区教育委員会
特別協力 ジョルジュ・ルオー財団
協力    日本航空


 
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* category: 展覧会

アートツーリスト in New York・1 

2017.09.12
Tue
16:51

 とりあえず、今年の遠征はこれでおしまい。のつもりでニューヨークに行ってきました。
 ニューヨークはたぶん5回目。ただし最後に行ったのが1998年ぐらいで、その後もどんどん変わったはずの街や美術館を見て歩きたいとずっと思っていました。2010年にブリュッセル&パリに一緒に行った友人たちと、「次はニューヨーク」って話してたのですが、仕事や健康の関係でちょっと難しいということだったので、ひとりでも行くかなあと思っていたところ、ニューヨーク在住のお姉さまに会いに行くという別の友人が誘ってくれたことから実現しました。ありがとう。

 9月1日に成田を出、7日には帰国。というわけで、実質4日間の旅でした。ホテルの部屋&朝御飯は一緒だけど、あとは原則として別行動です(ジャズ→夕食、チェルシー地区→夕食は一緒だったので、全体の3分の1ぐらいj同行だったかな)。

 毎日のことを細かく書いてると絶対終わらない(スペインのもざっとしか書けてないし、アイルランドは中断してるし)ので、ここはもう腹を決め、今回の目的だった美術館めぐり(本当はギャラリーも行ってみたかったけど時間切れ)についてだけ、いつかまた再訪するときのために残しておこうと思います。

・役にたったよその1 メトロポリタン美術館のメンバーになった。
 メトロポリタン美術館の入場料は「自分で考えて払ってね」なのですが、一般への推奨は25ドル。
 メンバーのステータスはいろいろあるのですが、一番安いのが一年100ドルです。これに遠隔地在住割引で、日本から申し込むなら80ドルになります。三つ(5th Avenue、クロイスターCloisters、ブロイヤーBreuer)に有効で、いつでも入場できるし同伴1名OK。などの特典があります。→詳しくは、公式サイトのこのページを参照。日本語でのニュース記事も参考になると思います。入会するとカードが送られてくるそうですが(届く前に出国&帰国しちゃった)、受付けましたよ! のメールを印刷して見せればOK。

 今回入ってみたのは、
・5th Avenueだけでもくブロイヤーにも行く予定。5thは何回かに分けるつもりもある。
・たぶん友人も同伴で行く。
・入場するのに長い列ができることがあるらしいけど、メンバーならメンバーデスクに行けばいいしそこはすぐ発券してくれるという話。
という理由がありました。

 結局5thに3回、ブロイヤーに1回行ったので(友人は体調の関係で同行しませんでした)ざっと見積もって100ドル。80ドルで済んだのはラッキーでした。
 メンバー特典で割引になるグッズもあったけど結局買わなかった。
 それから、「早く入れる」の件ですが、朝イチ開館前に行くとどうせ他のひとと一緒に並ばなくてはならなかったので、そこは解決せず。でもすこしだけずらせば、すっと入ってメンバーズデスク→入場で、中に入ってからまた行列の手間はありませんでした。

・ 役にたったよその2 MOMAの早朝ツアー
 こちらは1と比べると意見の分かれるところかなあ。でも個人的には満足。
 4日間でいろいろ見たいので、早く入場できる(その後も残って個人的に見てOK)というのがとくに魅力的でした。
 MOMA主催ではなく、tripAdvisorが運営するViatorという観光サイトで見つけました。→Viator VIP : Mornings at MOMA
 9時30分から1時間、定員25名のガイドつきツアーで、 今のところ土・日開催です。

 内容も面白かったんだけど、寒い雨の日だったにも関わらず、10時30分に開館したとたんにすごい混雑になったため、わあーツアー正解! と思いました。ニューヨークの「夏」の終わりの連休(9月4日(月)はLabor Day)中日だからこの混雑だったとも言えるし、いまMOMAが拡張工事中で手狭なのもあるかもしれません。
 
moma独占
*第一室では解説後5分程度の自由時間あり。MOMAで一番人気?のゴッホ〔星月夜〕の前もこんな感じ。

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*第二室はピカソ〔アヴィニョンの娘たち〕をはじめとするキュビスムの部屋。
 MOMAの「門外不出の一枚」はこの〔アヴィニョンの娘たち〕だそうです。けれども間近で質感まで見られるように、カバーのない状態にしてあるそうです。サイズ(243.9 x 233.7)についても注意喚起があったので、われらがガイドMidoriさん(日本人! 聞きやすかった)にもちょっとだけご出演いただきます。

MOMAひる
*収蔵品展示第一室だからというのもあるだろうけど、開館1時間後ぐらいにはこんな感じ。写真OKなのもあいまって、正面でゆっくり見るなんてできないよね。

momaひる1
*昼過ぎには雨はあがってましたが、チケット購入にはかなりの行列が。
 チケット売り場や展示室のサイズと比して今回一番混んでたのが日曜日のMOMAでした。
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* category: 和食

夏は鱧。@酒楽喰(上野町) 

2017.08.28
Mon
18:58

 ウナギ科が好きです。
 むかし留学していたとき、帰国したら最初に食べたいものの筆頭に穴子寿司をあげたことがあります。これは甘さに惹かれてたのもあるでしょうけど。
 基本、お値段もそれなりなので、そんなにひんぱんに食べないのですが、今年に入ってからはまず日本橋 玉ゐの支点(銀座)であなごの箱めしをいただいたのと、母の足のつめ切りで浅間下方面に行ったついでに野田岩で重ね(白焼きと蒲焼+ごはん)をいただいたのと(どっちもすごく好き。リピートしたい)、うなぎ釜飯も一回はどっかで食べたな。程度ですが。
 8月に入り、ルシェシュさんに紹介していただいて入ってみたお店で、鱧に遭遇! 一気にテンションあがりました。

 本牧方面での用事ついでにお昼を食べようかな、と思って、しかしその前にルシェルシュさんにふらっと入ってしまってデザート先取り→がっつり食べるのは難しいけど、ちょこっとお昼になにかつまみたい。で聞いてみたところ、教えていただきました。
 あの本牧の中国料理「香」(しゃん)のマスターとご兄弟のお店だとか。

 本郷町一丁目(元町方面から行くと、千代崎町でバス下りて二軒手前に戻るぐらいの至近距離)になる「酒楽喰」(しゃらく)さんです。
 30年以上続けてきた居酒屋さんが、息子さんが主な担い手になる際に割烹にシフトしたお店。土曜日のみランチ時間も営業、定食的なものもある、とのこと。

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(メニューの一部です)
 
 鱧があるじゃないですか!
 だいぶ前になるけど、京都で鱧づくしのお店に行ったこともある。夏を感じる魚だよね、いただこう!

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 鱧の南蛮漬け
 この酸味が嬉しい。ただ柔らかいだけじゃない舌触りも好き。野菜もシャキっとして味が濃厚。

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 玉蜀黍豆腐

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 夏野菜の炊き合わせ
 このかぼちゃが大好きです。きれいな形なんだけど、舌に乗せるととろけるみたい。

 鱧の話をうかがいました。
 横浜では需要があまりないので、どうしても仕入れも多くはなく、8月末までなら市場に確実に入るけどそれ以降はわからないとのこと。
 もう一回、こんどはちゃんと鱧主役で食べたいなと思い、予約してうかがいました。〔予算5000円で鱧料理おまかせ、三人でうかがいます。ひとりはけっこう歯が弱いのであまり鱧は食べないかもしれないから、三人前にこだわらなくて大丈夫。ほかの注文はお店で追加します〕という内容です。 

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 8月26日、店頭のお品書き。

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 お通し。

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まずは二種盛り。手前は湯引きです。ああー鱧だ。って思うよね。

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 鱧しゃぶ。あらかじめ三切れ入ってきました。 この煮汁がおいしくて、身を終わらせたあとみんなで分けて飲み干しました。

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 しゃぶしゃぶに、様子を見て追加する分。

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 これは茄子そうめんなんです。ほんとにほそーく切ってある。母が茄子好きだからお願いした一品。

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 夏野菜の炊き合わせをまた頼んでしまった。かぼちゃは母に。柔らかくて甘くていいでしょう。

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 出汁巻き卵
 ふっくら。

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 〆に焼きそば。塩味だけどごまも利いてて、いい油とあいまって、はー、おなかいっぱいです。

 こういうのもいいな。また夏には鱧いただきに行きます。その前に秋冬の味覚も気になるね!
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* category: 旅行

アイルランドに行ってきました 三日目・2 

2017.08.21
Mon
00:05

・ジャイアンツ・コーズウェイ Giant's Causeway
 この日のハイライト、ジャイアンツ・コーズウェイにやってきました。イギリス領北アイルランドにあり、ナショナル・トラストが管理しています。8キロほどの海岸線を六角形の玄武岩でできた石柱が埋めつくす奇観。ジャイアンツ・コーズウェイというのは「巨人の石道」という意味で、アイルランドの伝説の巨人、フィン・マックールにちなんでいるそうです。

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 ビジターセンターを抜け、徒歩あるいはバス(有料)で向かいます。行きは下り坂。

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 六角形玄武岩の石畳に至る前にも、岩山をいろんなものに見立てたりして。

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 なんか、だんだん火山噴火のあとみたいになってきた。

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 柱っぽいものが混ざってきます。

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 一番の見どころに行くにはさらに登る必要があって、ちょっとした崖を伝っていきました。ここで雨がぱらつき、滑るんじゃないかとハラハラしつつ。

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 見事な六角形。約四万もあるそうです。約5000万年~6000万年前に起きた火山活動で流出した溶岩が冷え固まり、割れ目が生じて形成されたものだとか。

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 突端のほうは波も激しいので立ち入り制限があるらしく、入っては駄目な領域に足を踏み入れるとこの監視員さんが鋭いホイッスルを吹きます。

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 突端を背にして振り向くとこんな感じ。なんかマチュピチュ思い出した。
 このあたりでまた雨になり、帰りの下りは、たいした距離じゃないけどハラハラしました。滑るんじゃないかと。危ない瞬間もあったけどどうにか切り抜けられてよかった。

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 ナショナル・トラストの車両はクボタでした。
 ビジターセンターに戻ってお土産見てたら、外はものすごい雨に……。ちょっとタイミングずれてたら、とってもじゃないけどあの先までは行けなかったなあ。

・ダンルース城
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 海辺に朽ち果てた城。写真撮影のため下車したにとどまりました。

・北アイルランド第一の都市、ベルファスト
 帰り際に立ち寄りました。
 この街の名前は、やっぱりIRAとともに覚えたなあと。でもこれからはタイタニック(オリンピック・ブリタニックの姉妹船も)がうまれた造船所のある街、としても記憶しておくよ。

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ベルファスト市役所。壮麗でした。調べたら、バロック・リバイバル様式で20世紀初頭建造。ガイドツアーなどもあるそうです。

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 しかしこの罰金ステッカーと標識が目立つのであった。ゴミのポイ捨て、犬のうんち放置は80ポンドの罰金。

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 自由時間は45分。お茶でもとも思ったんですが、市役所のまわりをぐるっと歩いてみてるときに発見したマークス&スペンサーに入ってみました。最終的には地下の食料品売り場に。冷凍冷蔵のものがすごく多くて、フロア全体が冷えてた……。ダブリンに帰り着くの遅くなりそうだし、バスのなかでなにか食べてもいいよねと、サンドイッチなんかを買いました。もちろんポンドだけど、ここはカードで支払い。結局ユーロ→ポンド両替はせずに一日過ごしました。

 マークス&スペンサーでの買い物済ませたころにもすごい雨になってて。でもバスの時間もあるし、意を決して外に。
 晴れてみたり豪雨になったり、アイルランド〔らしい〕 "crazy, undredicable weather"(狂った、予測不可能な天気)に見舞われた一日でありました。 ↑こういう表現、朝の天気予報でも言ってたよ!
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