二月にマドリッドでこの旅行の話をしたとき、
「全部まかせるけど、京都だけは行きたい」
と言われておりました。
そんなわけで、急に来てもなかなか訪問できない(外国人の場合はちょっと違うようですが)二つの離宮と、ついでにわたしも大部分未踏の地(三の丸肖蔵館だけ行ったことがある)である皇居の参観申し込みをしておきました。
1)修学院離宮−8月11日(月)11時開始
銀閣寺(東山慈照寺)からタクシーで。運転手さんは離宮の参観が好きで毎年申し込んでいるとのことで、秋の修学院はすごい競争率だけれどじつは紅葉が町中より遅いので、12月初旬でも間に合うことがある、と教えてくれた。次回を考えてみようかな。
今回の申し込みも往復はがきでしました。ネットはあっというまに埋まってしまうのであります。参観のさいにはこの参観許可書はもちろん、身分証明も必要と書かれていたけれど、じつは今回入った三カ所、どこでも詳細なチェックはありませんでした。
グループは十名程度。外国人は友人Jだけ。説明担当職員さんと、しんがりをつとめる職員さんにはさまれる形で行きます。連日の暑さで、最近もふたりばかり救急車で運ばれた参観者がいるとのことで、飲み物を持ち歩くことなど勧められました。
修学院は二度目。前回は冬で、広大な敷地、大きな池に雪が落ちていたなあという印象です。
もととなった造営は17世紀、後水尾上皇によるもの。今年になって「宮廷のみやび」展でにわかファンになったのでちょっと「おお」と思いました。
やっぱり最大の見どころは、17世紀から変わっていないという風景だよね。

こちらは「上茶屋」から撮りました。
後水尾上皇はこの離宮をとても愛し、四季折々に訪ねたそうです。

窮邃亭(きゅうすいてい)のようす。一段高い場所が上皇の席。じつは窓際の板は取り外しがきき、掘ごたつのようにして座ってゆっくり外を眺めることができるつくりだそうです。

広大な緑のなかには水田や畑が広がり、花も栽培されています。こちらは修学院の景観を守るために宮内庁が買い取り、周囲の農家に貸しているとのこと。いわゆる「御寮」農園ではないそうで、栽培した作物が献上されるということもないとか。わたしたちの参観中も、みなさんが精を出しておられました。
2)桂離宮−8月11日(月)15時半。
この日は京都を斜めに横切ったというか、酷暑のなかものすごくがんばってしまいました。中心地をはずれた東北の修学院から、京都駅経由で西南の桂に。
こちらは待合室もぐっと大きく、同グループの見学者は30人超。案内役のかたは拡声器持参です。イタリア人(推定)5人組も一緒。
10年ほどまえに参観したときには、きれいな景色を見るのは漠然と好きだけど建築にはほとんど興味は持っていませんでした。だから修学院のほうがずっと気に入ったんだけど、今回はもうすこし楽しめる目があるしなと思いながら歩く。
そういえば修学院では写真撮影は完全フリーでしたが、こちらは「ちゃんと写真撮影用にとまるので、歩いている最中には撮らないように」という話でした。写真に夢中になって踏み外し、庭に落ちたりすることが続いたからだそうです。

面白いなと思ったのが「隠し方」です。たとえば写真ですが、この奥の樹木に阻まれ、池がちゃんと見えないようになっています。「ここで見る」というポイント以外からは目に入らないように、いろいろな仕掛けがされてあるのだそうです。

桂離宮=モダン。
その例のひとつが、松琴亭一の間襖の市松模様なのではないかと思います。現在では色は淡く見えますが、もともとはかなりはっきりした藍と白のコントラストだという話。張り替えてもけっこうすぐ淡くなってしまうのだそうです。

御輿寄(おこしよせ)の垣。
襖の引手デザインなど、小技が効いててなかなかいいところがたくさんあるんですが、やっぱり全体的にはおおらかな修学院が好きだな。
3)皇居−8月22日(金)10時
集合は桔梗門でした。今までの離宮とは話が違うからきっとと思っていましたが、身分証チェックはやはりなし。
8月は午後の参観がないので、帰ってきたときには売店閉まってますよーと言われて、ちらっと見に行きました。待合室もずーっと大きいし、売店も大がかり。お菓子なんかも売ってます。話のネタに菊の紋入りまんじゅうを購入。
今回は個人客が20〜30名ほど、そして観光バス二台分の団体さんがいました。というわけで、
「横四列に並び、左側に寄ってください。写真スポットでは止まって説明するので、ちゃんと歩いてください」
とのこと。四列はあんまり守られませんでしたが、歩け歩け! はかなり厳しく、行進行進とせき立てられる感じでした。まあ、構内は車も通るし(ガソリンスタンドもある)、一部しかたのないところはあるのですが、これで暑かったらたいへんだよ。

というわけで、旧枢密院とお仕事車両。

随所に配置の派出所。ただし、参観時にはほぼ無人でした。

江戸城の遺構はそれほど残っていません。二重橋から伏見櫓をのぞんで。

こちらでは庭も見せてはもらえなかったな。
すごいと思ったのが、この写真にも一応写ってるこんもりした庭木ふた山。宮殿の庭にあります(外から会まみえるだけ)。「南庭の大刈り込み」という名称で、さまざまな種類の庭木を組み合わせて作ってあり、一番高いところは6メートルもあるそうです。右の刈り込み上部に黒っぽく見えるのが庭師さんなんじゃないかな。手入れ中でした。
・・・・
と、こんな感じで京都のふたつの離宮では暑さに悩まされながらものんびりムード、皇居では(えせ)軍隊式見学で、なかなか得難い経験をしました。
次回の京都は晩秋を考えてみようかな。予約必須のおなかま、苔寺も行きたいと思います。