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* category: 展覧会

『画家が見たこども展』(三菱一号館美術館)ブロガーナイトに参加しました。 

2020.03.03
Tue
10:12

 三菱一号館美術館で開催中(いまは休止中ですが……)の
『開館10周年記念 画家が見たこども展
ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン』(展覧会特設サイトはこちら)。

 2月26日開催のブロガーナイトに参加しました。関係者のみなさま、すばらしい機会をありがとうございました。

*この記事に掲載した会場内の写真は、特別な許可を得て撮影したものです。

 絵画のなかのこども……(西洋絵画で)すぐに思い浮かぶのは、聖母子や聖家族でした。あかちゃんばっかりだな。もうすこし成長した&宗教画ではないこどもというと、ゴヤが描いた肖像画とか(猫の表情が好きですぐに思い浮かんだのは、<マヌエル・オソーリオ・マンリーケ・デ・スニガ> (METの紹介ページはこちら)などでした。

今回は、展覧会のタイトルにも含まれているように-ゴッホの名前はありますが-、ボナール、ヴュヤール、ドニ、ヴァロットン……そう、ナビ派の画家の作品が中心となっています。 展覧会サイトの「概要」には、

「19世紀末パリの前衛芸術家グループ「ナビ派」の画家たちが追求した親密なテーマの中から「子ども」に焦点をあて、都市生活や近代芸術と「子ども」との関係を検証します。

とあります。

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 第一室の最初の三枚。
 右手に映っているのは
 ・モーリス・ブーテ・ド・モンヴェル<ブレのベルナールとロジェ> (1883)オルセー美術館蔵
です。楽しい。
  開けた野原の真ん中に、おそろいの水兵服を着た兄弟が立っています。仁王立ちというほどじゃないけどしっかり地面に足を踏ん張ってる雰囲気があり、かわいいだけじゃないのがいいよね。
 上であげた宗教画とか大貴族のお子さまの肖像画などとは違うよ!  というのがこれ以上ない形で示され、この展覧会での新しい出会いにワクワクしました。
 最近は予備知識を仕入れず見に行き、タイトルや解説などは見ないようにして各展示室やセクションをひととおり見てその場でのお気に入りを決めるのを楽しんでるのですが、第一室ではやっぱりこの兄弟だよー。

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 第二室

 左側にあるのは、チラシなどでもメインの位置を占める
・フィンセント・ファン・ゴッホ<マルセル・ルーランの肖像>(1888)ファン・ゴッホ美術館蔵
です。わたしもこの絵大好き。わたしとしても第二室のハイライトだと思います。
 アルルにゴッホが滞在していたときによくしてくれた一家。2017年のボストン美術館展ではルーラン夫妻の肖像画が並んで展示されていたなあ…と思い出します。
 ちっちゃなマルセルの肖像画背景の緑は、ゴッホ美術館が「苦境にあっての友」としてルーランを紹介するページ(こちら)にも引かれている、クレラー=ミュラー美術館蔵の花咲く肖像画の背景の色や、さきほど言及したボストン美術館蔵のマダム・ルーランのスカートの緑とつながっている気がします。

 同じセクションにはゴーガンのタヒチでの作品もありました。「死霊が見ている」という意味だというタイトル<マナオ・トゥパパウ>に描かれているのは、裸でベッドにうつ伏せている少女。もともとあかるい絵ではないけど、モデルについての説明を読み、幸せなこどもだけではない、この展覧会に仕込まれた毒のようなものを感じました。

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 というわけでヴァロットン。
 めまぐるしく動く社会のなかに、確実にこどももいる。下の版画はなにしろ<街頭デモ>だよ。上の<『息づく街パリ』口絵>にしても、第一室の草原の兄弟と似たようなポーズでありつつも、醒めた様子があります。どちらも三菱一号館美術館蔵。展覧会グッズのミニタオル、サコッシュ、Tシャツなどでもヴァロットンは大活躍です。

 モーリス・ドニが家族やこどもを描いた作品も多く展示されています。
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 色味が違うのが並んでいるところを。

 ドニの<ノエルと母親>(1896)個人蔵
がとても好きだったのですが、今回は一点撮りNG、複数枚を収めるという約束の関係でこちらでは紹介できません。
 あっ、2012年にフィリップス・コレクションが開催した展覧会のSnapshotで、ドニが制作の参考にした写真と一緒に紹介されてる。こちらです。画像が移り変わっていきますが、ノエルは8枚目。幸せってなんだっけ…これだよね! と思う一枚。

 幸せといえばわたしとしては猫さまも大事な要素。
 猫を愛するボナールさんがもちろんやってくれています。その名も<猫と子どもたち>という作品も!
 この展覧会はル・カネ(フランス)にあるボナール美術館の全面協力を得ており、ボナールの手がけたものは習作、挿絵本、写真も含めて数多く見ることができます。

 ちょっと遅れて到着したせいでカタログやグッズを買うことができず残念。早くもう一度行きたい。絵はがきはぬり絵できる線画とセットなのも楽しいよね!
 と思っていたら、今回の新型コロナウィルスの影響で、3月16日までの休館が決まりました。再開したらすぐにでも。

*展覧会公式ウェブサイトはこちら。多くの絵を紹介してくれています。トップを飾るゴッホ(マルセル・ルーラン)の右はドニの絵です。

・開催概要
会期:2020年2月15日(土)~ 6月7日(日)
開館時間:10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで(祝日を除く金曜、第2水曜、4月6日と会期最終週平日は21:00まで)
休館日:月曜休館(但し、祝日・振替休日の場合、開館記念日4月6日、
     会期最終週6月1日と、トークフリーデーの3月30日、4月27日、5月25日は開館)
     *トークフリーデーは声の大きさを気にせず鑑賞できる日です。

主催:三菱一号館美術館、ボナール美術館(フランス、ル・カネ)、日本経済新聞社
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協賛:大日本印刷
協力:日本航空、ヤマトグローバルロジスティクスジャパン株式会社
お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
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* category: 展覧会

2019年の美術展 

2019.01.19
Sat
10:02

・『ミナペルホネン/皆川明 つづく』東京都現代美術館(1226)

・『窓展 窓をめぐるアートと建築の旅』@国立近代美術館(1220)

・『坂田一男 捲土重来』@東京ステーションギャラリー(1220) たしかに最初は「とても…レジェです」だったけど、独自へ。

・『奈良原一高のスペイン 約束の旅』@世田谷美術館(1220)

・『世界に誇る吉野石膏コレクション』@三菱一号館美術館(1108)

・『カルティエ 時の結晶』@国立新美術館(1108)

・『話しているのは誰? 現代美術に潜む文学』@国立新美術館(1108)
小林エリカがよかったよ。これから注目。

・『ハプスブルク展』@国立西洋美術館(1025)

・『ゴッホ展』@上野の森美術館(1025)
同時代の画家たちの作品をのぞくと、ゴッホの軌跡としては以前に国立新美術館で見たもののほうが印象深い。

・『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』@森アーツセンターギャラリー(1025)

・『山下裕二の隠し球』@日本橋三越(1025)

・『エドワード・ゴーリー 優雅な秘密』@練馬区美術館(1016)

・『横浜美術館開館30周年記念 オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち』@横浜美術館(0925)

・『コートールド美術館展』@東京都美術館(0929)

・『ストラスブール美術館展』および常設@宮城県美術館(0914)

・常設および『弱虫ペダル』展@石ノ森正太郎萬画館(0912)

・リボーンアートフェスティバル(0912,13,14) 13には島に。

・『寺山修司 1969』および常設@三沢市寺山修司記念館(0911)

・『猫がかわいいだけ展』(0831)

・箱根ガラスの森美術館(0829)

・『シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート』@ポーラ美術館(0829)

・『金屏風展 ―狩野派・長谷川派・琳派など―』@岡田美術館(0828)

・『堀文子展』@成川美術館(0828) すごい暴風雨のなか、行く。たぶん二回目。全館堀文子で、これがよかったので後悔はない。チャンカイ人形なんかも描いてたのね。

・『伊庭靖子 まなざしのあわい』@東京都美術館(0816)
すばらしい。見る、ってなんだろうと思う。

・『円山応挙から近代京都画壇へ』前期@芸大美術館(0816)

・『みんなのミュシャ』@Bunkamura(0807)

・『横浜美術館開館30周年記念 生誕150年・没後80年記念 原三溪の美術 伝説の大コレクション』@横浜美術館(0726)

・『メスキータ展』@東京ステーションギャラリー(0710)
エッシャーの師匠だって。よかった。

・『塩田千春 魂がふるえる』展@森美術館(0708)
よかった。船と赤い毛糸。ワーグナーの舞台美術などもしたんだって。

・『ウィーン・モダン』再訪。カフェで上映されていたボルタンスキーのビデオを見る。(0708)

・『クリスチャン・ボルタンスキー展』@国立新美術館(0705)
印象深い。死者への祭壇など。

・『松方コレクション展』および特集展示『モダン・ウーマン』など@国立西洋美術館(0626)

・『横浜美術館開館30周年記念 Meet the Collection ―アートと人と、美術館』@横浜美術館(0614)

・西洋美術館常設をちょっと歩く(0607)

・『クリムト展 ウィーンと日本1900』@東京都美術館(0607)

・『ルート・ブリュック 蝶の軌跡』@東京ステーションギャラリー(0529)
知らなかった…と思ってたけど、フィンランドデザイン美術館で写真撮ってた! すばらしい展覧会。

・『相原求一郎の軌跡』および常設展(特集展示にフジタとのかかわりなど)@北海道立近代美術館(0517)

・『キスリング展 エコール・ド・パリの夢』@東京都庭園美術館(0515)

・ちょっとだけ『国展』@国立新美術館(0510)

・『トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美』@国立新美術館(0510)

・『ウィーン・モダン』@国立新美術館(0510)
これまたなつかしく。ウィーン工房とシーレがよかった。クリムトは数点。

・『Information? Inspiration?』@サントリー美術館(0510)けっこうおもしろかった。同じものを違うライティング(場合によっては暗闇に近い)で見る。

・『世紀末ウィーンのグラフィック』@目黒区美術館(0510)
3月に行ったばかりなので、なつかしいと感じるものも多々。ユリウス・マインルのコーヒーが提供されていたので飲んだり。

・『美術愛住館一周年記念 アンドリュー・ワイエス展』@新宿愛住館(0430)
新しくできていた小さな美術館(個人のものなのかも)。ワイエスだからかそれなりに混んでいた。「クリスティーナの世界」の背景になった家などていねいに見れた。

・『ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち』@パナソニック汐留美術館(0415)

・『東日本大震災復興祈念. 伊藤若冲展』および収蔵品展@福島県立美術館(0405)、その後花見山公園→ペントノート→駅前で買い物して帰宅。日帰り。

・3月20日
 予定通り朝6時ごろ到着。荷物送ってからちょっと羽田でだらだらする。タージマハルのスーツケースはもう駄目でしょうとのこと。角がへこんで張り紙されたのが一昨年のカタール航空だっけ? 今回は車輪も駄目ですねと言われる。これで引退ですね。→8時開店の伊東屋をのぞいてみたくて、まずは(必要もないのに)お茶漬け&おでんの店で定食。さらに伊藤園でソフトクリーム+白玉とか食べてしまった。伊東屋にはインクや万年筆もけっこうあった。なにか買ってあげたかったのでカクノを買う。そしてリムジンバス→いつものバスで帰宅。スーツケースは夕方届いた。でっかい段ボールに入ってたよ。 

・3月19日
 9時に迎えが来るように手配。一行9人で割り勘にしてミニバン(7人乗った)とタクシーで空港へ。タクシー一台45ユーロのところ、今回は割り勘したからひとり13ユーロ強ですんだ。問題なく出国し、なかでいろいろお菓子を買う。ターミナル3のほうが一杯あるね。時間があったのでちいさなザッハートルテもいただきました。→機内は満席なんじゃないかな。通路側だけど奥に二席。まあまあ寝ようとしたけど、最後に『グリーンブック』だけ見た。

・3月18日
 早めに出てベルヴェデーレに。上宮は9時からで、10分前には並んでた(前に三人)。一回休んでカフェでグーラッシュをいただく→下宮(中世美術コーナーで休憩がてら翌日のオンラインチェックインを済ませる)→アルベルティーナ→演劇博物館→買い物モード(道に迷ったおかげで高級デリカテッセンとチョコレートのXocolatを見つける。迷いつつやっといったHuber&Lernerは当てがはずれる。疲れてHeinerのカフェに入り、いちごのエクレアとメランジェ。→おみやげ買い物→最後にぱっと文房具屋を見つけ、ペリカンの限定カラーインクとラミーの限定カラー万年筆を買う。←どうせならペリカンにすればよかった)→帰ってきてほぼ一気に荷造り。

・3月17日
 11時に国立歌劇場だったが早めに出てケルントナー通りを歩く。Obaalaaというカフェを目指したが工事中で(移転したっぽい)、そのすぐ横にあるおフランスっぽいところに入り、店の名前を持つケーキ(ガトーショコラだよね)とホットミルク。→国立歌劇場でオペラ「オレスト」のマチネー。要するにプレミエ前の講義だった。30分ほどで出る。→クンストハーレ カールスプラッツ(2ユーロ)→分離派会館(「ベートーヴェン・フリース」、)、古いカフェSを探して座りターフェルシュピッツのお昼→マリアヒルファー通りをちょっと歩く→MQ(クンストハーレMQで写真展→MUMOC→レオポルド美術館→ちょっとグッズショップなど見たが買わず)→ケルントナー方向へ歩き、みやげ物店でちまちまチョコとかウエハースなど買う→ホテルに帰る。

・3月16日
 美術史美術館(10時予約でカフェだったが入場に行列できてて20くらい着、朝食)でロスコー展など→ストライキの関係でけっこう歩き、なんとか応用美術館へ→夕方地下鉄を乗り継ぎ(これは楽だった)フォルクスオーパーへ。しばらくチケット受け渡しのため並ぶ(40分くらい)。すぐ前のチョコレート屋で買い物。待ち時間のうちに駅の近くでソーセージとファンタオレンジ、パン。オペラの演目は『さまよえるオランダ人』。地下鉄などで帰る。

・ウィーン0314~0320(現地実質四日) 3月15日:シェーンブルン宮殿(入場)→リングあたり走り昼は一端解散でお昼はアルベルティーナで→集合してウィーンの森へ。モーツァルトの「菩提樹」にうたわれた樹木を見る→ハイリゲンクロイツ修道院(入場)&すぐのカフェでお菓子とコーヒー→マイヤーリンク礼拝堂を外から眺める→バーデンで35分ぐらい自由時間(歩く&文房具屋)→ホテル。ちょっと休んでから楽友協会でウィーンフィルとバレンボイム、マーラー一番

・『開館5周年記念展 美のスターたち』@岡田美術館(0308)
・箱根ラリック美術館でオリエント急行に乗ってお茶だけした(0308)
・『モダン美人誕生-岡田三郎助と近代のよそおい』@ポーラ美術館(0308)

『ヒグチユウコ CIRCUS』(0226)
・『奇想の系譜』
・『河鍋暁斎 その手に描けぬものなし』
・『奥村土牛』
・『母、猫、父その順に』
・『ソフィカル 限局性激痛』
・『北斎updated』
・カタストロフと美術のちから
・フィリップス・コレクション展(結局三回見た)
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* category: 展覧会

水戸に行きました・4 水戸芸術館(ミトゲイ)の館内ツアーに参加してみた 

2018.09.09
Sun
17:54

 水戸に強いつながりを持つ友人がいて、おりにふれてツイッターを通してミトゲイでのイベントとか情報を流してくれています。だから気になってて、さらに今年の夏は諸事情で遠征はほぼしなかったから、よし! 日帰りでもいいから行こう! と。今回のお目当てがミトゲイでござります。

 →公式サイト
 おお、美術館だけじゃなくて劇場やコンサートホールもあるんだ、館内見学ツアー楽しそう‥‥
 程度の漠然としたイメージを持って向かうことに。

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 茨城県近代美術館を出ると、湖の向こうに変なタワーがあるよ。
「‥‥ごみ焼却場の煙突とか?」

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 いや、これがミトゲイのシンボルタワーでした!
 なにしろミトゲイの英語での名称はArt Tower Mitoなのでした。
・茨城県近代美術館→Cafe RIN(泉町一丁目)にタクシーで来たときにちらっと見えた景色を求め、食後、すこし駅寄りに戻って撮った写真。
 ふつうの建物のあいだにぬっと現れる(角度によっては見えない)姿は、007のWorld Is Not Enoughでのグッゲンハイム・ビルバオを思い出すなあ。

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 朝、水戸に着いたときには曇ってて気温も低めでよかったのですが、お昼過ぎはかなり暑くなってた。空が美しいのはよろしい。

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 中庭の噴水。ワイヤーで固定された巨石を水が叩く。ここで水遊びもできるそうです。

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 ミトゲイに吉田秀和?
 初代館長とのこと。いまの館長は小沢征爾だそうです。

 現代美術ギャラリーでの展覧会にどのくらい時間がかかるかわからないから、まずは館内見学ツアーに参加しようかな。
 11時~と14時~で、ツアーが500円+ツアー参加者料金で美術展が700円、合計1200円。このチケットには塔の入場料も含まれ、さらにカフェでのコーヒー/紅茶/ジュースの無料券もついてました。お得。

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 お昼をたらふく食べてからそんなに時間が経ってなかったのだけど、ミュージアムショップで買い物を経て、カフェで時間つぶし&メモ書きに座ることに。こだわりぶどうジュースおいしかった。カフェは茨城のサザコーヒーが入っています。ツアーの間はこのバッジを目立つところにつけてください、とのこと。

 水戸芸術館は文化複合施設で、フルだと劇場・コンサートホール・パイプオルガンを含めたホール・現代美術ギャラリーの見学ができるのですが、7日は週末にある公演のリハーサルがあるので劇場は見学できず、でした。
 平日だし、フルで見学できるわけじゃないしというのもあってかな? 14時に集合したのはわたしひとり。案内係のお嬢さんにたっぷりお話を聞き、60分の予定が結局たぶん100分ぐらいになりました‥‥!

 水戸芸術館はかつて小学校があった敷地に、1989(平成一)年の水戸市政100年を記念して年度内の1990年3月オープン(なんと午前中に訪れた茨城県近代美術館は1988年で、あまり差がない。様式から、だいぶ違うと勝手に思っていました)。シンボルタワーの高さも100m。設計は磯崎新。
 初代館長は吉田秀和、2012年に98歳で死去するまでその任を負っていた。高齢ではあったが予期しないときに死を迎えたため、しばらくは館長不在が続き、最終的に小沢征爾が就任。小澤はコンサートホールの音楽監督をずっとつとめており、二代目館長となるにふさわしい人物だった。
 水戸芸術館の運営を担うのは公益財団法人水戸市芸術振興財団。財団の理事長は森英恵で、いまのスタッフの制服はハナエ・モリ(蝶のモチーフのスカーフで、あっ! と思っていたので謎が解けた思いでした)。

 劇場・コンサートホール・現代美術センターが一体となって「芸術館」を形成する。それぞれに学芸員や専任スタッフが配置され、自主企画を運営している。「貸しホール」的な使い方はせず、利用を希望する団体や個人は、芸術館が主催するフェスに申し込むなどの形を取る。また、芸術館がさまざまな講座も開催しており、希望者は個人として参加することもできる。

 劇場およびコンサートホールに座付きの劇団(劇団ACM、現在団員4名)・楽団(水戸室内管弦楽団、現在団員合計26名)を持つ。公立の施設で座付き劇団を持つのは水戸が初めてとのことでした。現代美術センターは固定的な収蔵作品を持たず、現代美術の自主企画展にこだわった活動を続けています。

 劇場は週末の公演に備えて入場不可でした。
 グローブ座をモデルとし、舞台は12角形。緞帳はなく、最大収容人数は636名だが、多くの場合は300~400名の観客を想定して上演するとのこと。劇場としては円形なので、3階席は舞台の「裏」にも座席があるのでした!

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 劇場(の扉外)からコンサートホールに行くときにわたるスペース。階下に広がるのがエントランスホールです。
 パイプオルガンが奥にあるし、長方形でシンメトリーな構成がちょっと教会っぽい。ガイドしてくれた方によると、この1990年にオープンしたホールは磯崎新の80年代(古典建築様式の引用をよくした)集大成的側面があるとか。パイプオルガンはもともとの建築プランにはなかったものを、磯崎が提案して設置することになったとか。
 このパイプオルガンは日本製。町田の工房で作られ、おりにふれてメンテナンスしてもらっているとのこと。2011年の東日本大震災で最大のパイプ5本が外れて落ち(一階にその痕がいまも残ります)、修復と調整には一年以上を要したとか。再開にあわせてオルガン上部中央の星をつけたそうです。コンサートホールや劇場との兼ね合いによりますが、土日祝日に椅子を配置して無料のパイプオルガンコンサートも行われることがあります。
 
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 パイプオルガンと向かい合う形の、西向きの窓装飾。1天然石を18mmの薄さにカットして貼ったもので、日差しによって色合いや表情を変えます。

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 コンサートホールには入場できました。舞台は六角形で、劇場とは違い形は固定です。やはり緞帳はなし。「裏」にあたる客席もあり、指揮者の表情や演奏者の手元を見たいひとに人気だそうです。
 600席+60追加可能の小振りのホールのため、100人以上にもなるフルオーケストラはステージに上がれません。主にクラシック演奏会に使用しますが、落語や講演会、映画上映などもするとのこと。

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 バーの椅子みたいな二階の座席。ここに座ってみたいな。

 水戸市民への還元を強く意識した施設のため、市内の生徒たちは
・小4で劇場に来て演劇鑑賞
・小5で、ミトゲイではない場所(外部)ではあるけどミトゲイの楽団によるクラシックコンサート鑑賞
・中1でミトゲイにやってきてクラシック音楽鑑賞
の機会を与えられるそうです。

 現代美術ギャラリーでは、第1~第7室を使って企画展『内藤 礼―明るい地上には あなたの姿が見える』を開催中。有料のため外からすこしお話を聞きました。ギャラリーに行くの、ツアー後にしておいてよかった。鑑賞のヒントをたくさんいただきました。
 パイプオルガンの裏にある通路を通って行くちいさめの第9室では、若手作家紹介シリーズ「クリテリオム」その94、「北林加奈子展」を開催中。このクリテリオム、入り口で配布していたリーフレットがとってもいい紙で、展示作品の写真も大きくてきれい。キャリアの浅いアーティストにとってはとくに、名刺がわりになる嬉しいリーフレットなんじゃないかな。

 中庭を抜け、タワーへ。ここが館内ツアーの終わりです。
 タワーのチケットを受け取り(ツアー料金に含まれてます)、エレベータで上がるまではツアーでした。86.4mを約一分半かけて上がります。ちなみに歩いて上下する場合400段だそうです。
 上部に着いたところでツアーはおしまい。係員さんはそのままエレベータでおりていきます。自分で見学したらエレベータを呼び、下りていくという仕組み。

 潜水艦みたいな(昔のイメージだけど)丸い窓が随所に開いてて、外が見えます。
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 これ、怖い人は怖いかもしれないな。28の正四面体を接ぎあわせたタワーはかなりスリムで、風に揺れます。エレベータで昇る前、「車酔いしやすいなど、ありますか」と聞かれたのもわかる。わたしは子供の頃はよく乗り物酔いしましたが今はまずまず平気なのでゆっくりとひとまわりし、それなりに写真を撮り、エレベータを呼んで下りました。そういえばその後ちょっとの間なんとなく揺れてる感覚があったもんね。

 また現代美術ギャラリーに戻り、ふたつの企画展を見、預けていた荷物をクロークで受け取ってすこしだけ椅子で休み。
 日差しがすこしだけ和らいだ外にふたたび出たのは、4時半すぎになりました。

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水戸に行きました・3 茨城近代美術館(収蔵作品展&ポーラ美術館コレクション展) 

2018.09.09
Sun
11:37

 今回のお目当ては水戸芸術館(ミトゲイ)。現代美術ギャラリーでの展示に惹かれたというよりは、全体を一度見てみたいという気持ちでした。
 朝早く着いたのでミトゲイの前にどこか。となったとき、やっぱりわたしは美術館に行ってしまうんだな。偕楽園は次回で!

 タクシーで茨城県近代美術館へ。斜面にたっているらしく、階段をあがったところが一階でした。
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 お目当ては収蔵作品展。とくに誰とかどれというわけじゃないけど、せっかくだから見ておこうと。
 この看板の右側に映っている女性像好きでした。写真OKだったけどわたしの影がうつりこんでしまってうまく撮れなかった水彩画で、中西利雄<黄色い首巻(人物)>1930(昭和5)年の作だそうです。ここに大きめ表示があります。

 二階では特別展『ポーラ美術館コレクション モネ、ルノアールからピカソまで』が開催中。ポーラ美術館には何度か行ったことあるけどな‥‥と思いつつ、せっかくだから見ることに。結果、よかったよ。

 収蔵作品展は寄託作品以外は撮影OKだったので、まあまあうまく撮れた&気になったのを何枚か載せます。

・展示室1 日本の近代美術と茨城の作家たち 秋 

 入ってすぐのフランス絵画三枚に続いて茨城の画家・中村彝作品が並び、入り口正面には日本画の展示ケースがありました。
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 すごいなあと思ったのが、一部ではありますが「ご自由にお持ちください」な作品解説カードがあったこと。裏にはアーティストの略歴と、作品解説が印刷されてます。

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「ご自由に」のものから、ちょうど展示中だった作品カードを。木村武山<イソップ物語>(1912~13年頃)はいいと思ったけどうまく撮れなかったので嬉しい。烏が身につける孔雀の羽根が鮮やかでした。 

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 四作展示されてた小川芋銭から<芭蕉句意 井守>(1937)を。一番いいなと思ったのは<五柳先生>は寄託品なので写真NGでした。  

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・榎戸庄衛<月>(昭和26年:1951年)

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・宮崎進<鳥と少女>(平成4年:1992年)

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・互井開一<魚と花>(昭和41年:1966年)


・展示室2 かの地(西洋)とこの地(日本) ―海の外に憧れて。中村彝と日本の洋画家たち

 入り口から展示室2を見渡すと(画角の関係で異様にだだっぴろく映ってしまいましたが)
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 ぱっと目に入ったのはこの絵でした。サイズもあるけど。
 鈴木良三<グラス風景>(昭和6:1931年)
 水戸生まれで中村彝に師事したという鈴木のことは知らなかった(すくなくとも、意識したことはなかった)んだけど、他に展示されていた人物画などもよかった。

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 中村彝<静物>(大正8:1919年)
 中村彝というと、<エロシェンコ氏の像>(竹橋の近代美術館にあるよね、重要文化財)と、「いつまでも読みが覚えられなかった」(「つね」です)に帰結してしまう貧しいわたしで、静物を複数見たのはたぶん初めて。あ、セザンヌ。と思った(影響は指摘されているそうです)。

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 中村彝<カルピスの包み紙のある静物>(大正12:1923年)
 でもこれはぜんぜん違うよね。同じく大正12年作の<花>も似た作風だったのですが、1920年前後になにがあったのかな。←調べてみたら、1920年にルノアールやロダンの作品を見て衝撃を受けた、とのこと。<エロシェンコ氏の像>は1920年の作。さらに言うと、1923年は関東大震災の年で、中村彝は1924年に37歳で死去とのことでした。 

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・岡鹿之助<観測所(信号台>(大正15年:1926年)
 鹿之助好きなんです。京都国立近代美術館、ポーラ美術館、ブリヂストン美術館(改称が発表されましたね)などでも見つけては「おっ」と思ったものでした。展覧会ないかな。→調べてみたら、2008年にブリヂストンで没後30年記念で開催されてました。カタログ通販できるな。買おうかな。

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・佐伯祐三<コルドヌリ(靴屋)>(大正14年:1925年)
 黒すぎないときの佐伯作品が好きだ。この白の質感、塗り方など。

・ポーラ美術館コレクション モネ、ルノアールからピカソまで(ウェブサイトはこちら

 二階展示室での企画展。
 Ⅰ.印象派の誕生:モネとルノアール 
 撮影OK。最初の一枚はマネの<サラマンカの学生たち>でした。

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 モネが8枚。
 好きだったのはこの<花咲く堤、アルジャントゥイユ>(1877)
や、1872年の<セーヌ河の支流からみたアルジャントゥイユ>、<貨物列車>などでした。
 ルノアールも同じく8枚。

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・カミーユ・ピサロ<エラニーの花咲く梨の木、朝>(1886)
 
Ⅱ 色彩の解放:セザンヌからフォーヴへ
 あっ、このセクション好きな画家いろいろいる! 結局見てよかった。
 セザンヌまでは撮影OKでした。ヴラマンク以降NG。

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・ポール・ゴーガン<ポン=タヴェンの木陰の母と子>(1886)
 ゴーガンは恥ずかしながら最近「発見」(好きだとわかった)のですが、とくにブルターニュ時代のが好み。この絵は表情ゆたかな緑のなかにちいさく違う色の母子がいることが画面にリズムを作り、印象的にしてていいなと。母子を視界から隠して見たりするとがらっと違って楽しかった。

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・ポール・セザンヌ<砂糖壺、梨とテーブルクロス>(1893-1894)
 公式サイトできれいな絵が見れます。人物画も来てたけどこの作品が好き。

 同じく公式にあるボナールの<浴槽、ブルーのハーモニー>(1917年頃)も3枚のボナールのなかで一番好き。構図も面白い。国立新美術館でのボナール展とても楽しみにしています。

 ほか、マティス、マルケ、キース・ヴァン・ドンゲン、キスリングに好きな作品がありました。

Ⅲ 造形の冒険:ピカソとブラック
 最初にブラックを配置。色彩が好きポイントになることが多いので、キュビスムは興味はあれどもそんなに好きなわけじゃないのですが(キュビストだけど色合いが楽しいフアン・グリスは大好き)、ここに展示されていたのは案外色にも惹かれました。ピカソはキュビスム期を経てしばらく経ち、その痕跡と色彩、造形が併存していた<ろうそくのある静物>(1944)の前でしばらく立ち止まりました。

 あー充実していた。
 中村彝 のアトリエが平日は午後しか見学できないのは残念だったけど、堪能しました。
 さて次は、ちょっと早めだけど確実に座れるだろうからカフェリンCafe RINへ行こう!
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* category: 展覧会

石内 都展@横浜美術館の内覧会に参加しました(0120) 

2018.01.21
Sun
17:41

 横浜美術館で開催中の『石内 都 肌理と写真』展(3月4日まで)。
 テーマ別に構成された展覧会の4セクションは、それぞれ「横浜」「絹」「無垢」「遺されたもの」といいました。

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 横浜美術館グランドギャラリーにはためくのは、「絹」の項で展示されている写真の拡大を組み合わせたもの。朗らかで明るく、時代を感じさせる銘仙と、こうした織物のもとになったお蚕さんの繭です。

 1月20日、菊地麻衣子さんが主催する[アートサロン パトロンプロジェクト](リンクはこちら)による「アート新年会」が開催されました。共催の横浜美術館からお誘いいただき、ギャラリートーク-撮影会-懇親会に参加してきました。関係者のみなさま、貴重な体験をさせていただきありがとうございました!

*画像はすべて主催者の許可を得て撮影したものです。

 石内都さんは、わたしにとっては、フリーダ・カーロの家(メキシコシティ)にあるフリーダの遺品を撮影した写真家でした。
 →写真集『フリーダ 愛と痛み』(岩波書店)
 →→石内さんがこの写真を撮る姿をおさめたドキュメンタリー映画『フリーダ・カーロの遺品 -石内都、織るように』 
 また、この作品集について二、三調べたりしてるとき、広島の原爆で命を落とした方たちが身につけていた衣服を石内さんが撮影していることを知りました。開催中の展覧会のメインビジュアルは、おそらくそのうちの一枚だろうな……という程度の知識を持って、イベントの日を迎えました。
 
・横浜 Yokohama
 グレイッシュブルーに塗られた壁に、余裕を持って配置されたモノクロームの写真。
 石内さんの〔横浜〕は、くずれそうな民家、廃屋から始まりました。
 第一室に展示されているのは、『Apartment』(1977-1978、木村伊兵衛賞受賞)のなかから横浜で撮ったもの-作品ひとつひとつにはキャプションはなく、下方にそっと置かれたナンバーを手がかりに作品リストを当たると、「弘明寺」「富岡東」「平沼」などの地名が並びます-、そして『連夜の街』(1978-80)からの写真です。『連夜の街』は全国の赤線地区を撮影したもので、作品リストを見ると「真金町」「福富町」「野毛町」などの名が並びます。そうか、ここにあるのはその[横浜]なんだ。
 
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 参考:産経ニュースの関連記事→石内都さん「Apartment」 建物が時間を食べてる 入れ替わり暮らしてきた住民らの気配、手垢や体臭…。

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 廃墟を映した写真は『Bayside Courts』(1888-89)へと続きます。そのなかで一番惹かれたのが左側の冷蔵庫の写真。米国製かな? 読み取れないけどアルファベットが並ぶ製品(またはメーカー)名、住民、子どもかな? がひとつひとつ配置や大きさを貼っただろう花のシール。
 帰宅してBayside Courtsを調べてみたら、『週刊横濱80's』にこんな記事がありました。

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『yokohama 互楽荘』 (1986-87)
 今のKAAT(神奈川芸術劇場)裏-海側にあった、かつての高級アパートメントハウス。
 だそうなのですが、ぜんぜん記憶にない。←さきほど引いた『週刊横濱80's』にエントリあります。
 小学校は公立で近かったけれど、中学で私立に行き、留学なんぞもしてしまい、横浜に関心を持つようになったのはせいぜいこの10年ちょっとなのが悔やまれます。

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 石内さんが撮影したのは、昔のひかり いまいずこ……となり、崩壊に向かっていく互楽荘の姿です。
 わたくしごとですが、中華街に同潤会アパートがあったのはすごく覚えています。調べたら、現在のレイトンハウスあたり。わたしが小学生だったころにはもう老朽化していて、屋上の貯水タンクのなかには死体が……なんて怪談がまことしやかに囁かれてた、ように思う。 

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・『金沢八景』(1975-76)
 崩壊していく互楽荘の向かいには、とてもお行儀よく、小さめのみんな同じサイズで撮られた『金沢八景』が並びます。ここは石内さんの生活拠点。桐生で生まれ、7歳から19歳までは横須賀で育ち、そして横浜で暮らすようになったと学芸員の大澤さんがおっしゃってました。

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・『Yokohama Days』2011
 カラーで撮った最近の横浜。あっ、ここは……!
 竜宮美術旅館のお風呂だよね(反転すると読めます)。

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 横浜の最後は真っ白い壁。一瞬、象でも映したのかな、と思うような皺が目に飛び込んできます。
・『1906 to the skin』 (1991-93)
 横浜を拠点に活動していた舞踊家・大野一雄を写した作品群です。 

 思わぬいろんな横浜に気もそぞろになりながら、通路を隔てた第二展示場に入ると(なかが見えないように白い布で出入口が仕切られています)高さ7メートルの正方形の空間には、「絹」をテーマに、色とりどりの布-着物を写した写真が躍ります。

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 多くは銘仙の着物だとか。
 屑繭から取った糸で織られるから安価で、だから伝統に縛られない自由な柄で遊ぶこともできた着物たち。

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 その間に、そっと、蚕の繭とか、桐生とおぼしき風景と工場を写した小さな写真とか、工場のなかの様子などが。

「絹」の部屋を抜けると、また通路をはさんで(映像作品を上映中) 

・「無垢」
セクションへ。
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 あ、と思いました。
 最初の部屋のグレイッシュブルーもとてもいい、と思ったのですが(大野を写した作品を置いた白壁もね)、この淡いピンクのぬくもりある色と、モノクロのヌードがとても合っている。
『Innocence』は、女性のからだの傷跡を写した写真群です。幼いころに負った火傷と一緒に成長した体、手術のあとなど。撮り続けるうちに、被写体のほうから「撮ってほしい」と声をかけられることも多くなり、ここに展示されている新作のモデルさんが展覧会に来て自分の体(の一部)の写真を見たりもしたとか。
 傷跡も一緒に育つ、一緒に生きている、というのをぼんやり考えたりもしました。非活動的だったからその分怪我なんかもほとんどしたことないのですが、自分では見れない(もう薄い)お尻の火傷とか、折り畳みテーブルの金具でえぐった傷の、芋虫みたいな傷跡とか、すぐ目につくものでは右の手の甲に猫にひっかかれた傷跡があるとか……。

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 このあともとてもいいのでなんとか多めに色が見せられないかな、と思ってとった一枚。シャルトリューズイエロー(っぽい)の裏面にあたる壁は浅緑とか若緑の色味(聞いてくればよかった)。石内さんと打合せを重ねて決めたこの壁色はとても好評を得ているそうで、塗装業者さんも「今までで一番よくできた」と納得の出来だったとか(大澤さん談)。
 欲を言えば、ソファもちょっと意識して手を加えた全体が見たかったように思います。Bunkamuraザ・ミュージアムあたりは展示に合わせて布をかぶせたりしてて、そこを見るのも好きです。でもこのどしっとしたソファの黒が引き締めになってるのかもね。

・「遺されたもの」
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・『Mother's』(2001-2002)
亡きおかあさまの遺品を写した作品から三枚を展示。
最後に残った紅を筆でこそげて塗っていたであろう口紅(真ん中)など、今はいない持ち主の気配を強く感じさせる品々。
フリーダ・カーロ博物館がこの作品を見て、フリーダの遺品撮影を石内さんに頼んだといいます。

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『Frida by Ishiuchi』(2012)
 石内さんは自然光の下で撮る作品がほとんど。このように背景に木漏れ日が映り込んだりすることも。

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『Frida by Ishiuchi #24』(2012)
 
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『Frida Love and Pain #96』(2012)

 そして、2007年から撮り続けている『ひろしま』。広島平和記念資料館に寄贈された被爆者の遺品を撮影したシリーズ。
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 青く塗られた壁(右側)の端、ずいぶんと高いところに展示されているのが、本展覧会のキービジュアルになっている写真です。
 石内さんは今もフィルムカメラで撮影しているため、現像してみたとき、「あ、このワンピース、空飛んでるみたい!」と思ったそうで、この配置、高さ、そして壁の青もこのことを意識しているとのこと。

 写っている遺品、おしゃれだなあと思うものも多くて。
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 もちろん、このように<戦時下、しかも終戦直前のぎりぎりの暮らし>イメージに似合うものもあるのですが、そういうときにも精一杯すてきなものを着ていたひとも少なからずいて。そういう「ふつう」が一瞬で蒸発してしまった脱け殻のような衣類が、晴れ渡った空を思わせる青い壁の高いところに掛かっている。どんなひとが、なにをしていたひとが身につけていたのかな……と、作品リストの解題にあるように、
「事物の表層=肌理(きめ)を通して、時間の堆積として被写体を考察し撮影する石内の一貫した姿勢」にすこし寄り添えた気がしたのでした。 


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 出口に向かう右手に展示されていた写真(とドレス)全体と、

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 左手にはその部分をとじこめた五つのアクリル板とに送られて、展示室をあとにしました。

 
〔展覧会概要〕
会   期 2017年12月9日(土)~2018年3月4日(日)
開館時間 10時~18時(入館は17時30分まで)
           *2018年3月1日(木)は16時まで
           *2018年3月3日(土)は20時30分まで (入館は閉館の30分前まで)
休 館 日 木曜日 *ただし、2018年3月1日を除く
主   催 横浜美術館(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)
助   成 芸術文化振興基金
制作助成 公益財団法人テルモ生命科学芸術財団
協   賛 株式会社ニコン
       株式会社ニコンイメージングジャパン
       資生堂
協   力 The Third Gallery Aya
       みなとみらい線
       横浜ケーブルビジョン
       FMヨコハマ
       首都高速道路株式会社
       チョコレートデザイン株式会社

・・・・・
与那原恵『石内都と、写真の旅へ』 
 メキシコ-USA-桐生-横浜と、石内さんとともに旅をしたノンフィクション作家によるウェブ連載。備忘録に。 互楽荘での撮影エピソードなども。       


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