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* category: 展覧会

マーク・ロスコおよび常設展 

2009.03.11
Wed
22:04

 二月中に行く予定だったのが、体調とか天気などに阻まれてようやく昨日、千葉県は佐倉にある(といっても駅から送迎バスで20分)川村記念美術館に行ってきました。もちろん、お目当てはマーク・ロスコ展です。

20090203_623075.jpg

 ロスコと「出会った」のは、マドリッドのティッセン=ボルネミッサ美術館です。
 それまでは、本などで見かけていても、
[こういうのって早いもん勝ちみたいな・・・]
としか思っていませんでした。
 つまり、キャンバスを白一色とか青一色とかつけて、適当な(と、思えるような)題をつける。
 けれども、実物と対峙すると違うのです。
 そのときわたしが出会ったのは、"Verde sobre morado"(=紫のうえの緑)。ふたつの色の重なりあいや滲み、バランスなど、美しいと思ったのでした。マドリッドに行くたびに[会いに]行く絵の一枚です。

 それからもう一歩進んだような気持ちになったのが、02年にロンドンのテート・モダンのロスコ・ルームに身を置いたとき。
 ティッセンでは展示作品のうちの一枚、でしたが、ここには数が集まっている。作品保護のためにしてもずいぶんと暗いなあ、と思える照明のしたに浮かぶ絵に、今度は美しさよりも崇高さや神秘、静謐な時間を感じました(刻まれたのはその体験であり、個別の作品の色だとか構図ではなかったのが特別です)。そこからロスコははっきりと、好きな画家になったのですが、それでも本を読むなどのことはしていませんでした。ただ、愛読書のひとつであるTwentieth-Century Latin American Poetry (バイリンガル)の表紙がロスコだったときには、偶然の祝福のようなものを感じましたが。

 その後、佐倉の川村記念美術館にはロスコの作品がたくさんあるというのを知って興味を持つようになり。しかし遅まきながら気づいたときには、川村は展示室拡大などのため閉館になり。リニューアルオープンしたらロスコ作品はテート・モダンでの展覧会のために貸与されており。
 というわけで、この展覧会まで待つことにしたのです。

 今回の展覧会は、川村が所蔵している「シーグラム壁画」シリーズ(の一部)を基盤に、テート・モダンやワシントンのナショナル・ギャラリーなどから来た作品とともに構成されています。

 じつはロスコは自分の作品がほかのひとのものと並べて展示されることを好まなかったというのです。
 ここからは川村記念美術館のウェブサイトから引用します。

 川村記念美術館が所蔵するマーク・ロスコ(1903-1970)の作品群は〈シーグラム壁画〉と呼ばれるシリーズのうちの7点で、もともと一室に飾られるためのものでした。その誕生は、1958年春、50代半ばにして大家と認められたロスコが、マンハッタンに新しくできるシーグラム・ビル内のレストラン「フォー・シーズンズ」のために、作品制作の依頼を受けたことをきっかけにしています。最高級の料理と優れた現代アートをともに提供するというコンセプトのもと、ロスコも作家のひとりに選ばれ、レストランの一室の装飾を任せられたのです。当時のロスコは、グループ展などで他人の作品と同じ部屋に作品が並ぶことを嫌い、自分の絵だけでひとつの空間を創り上げたいと切望していました。そこで、およそ一年半を費やし、30点の絵画を完成させたのです。

 けれどもオープンしたレストランを訪れたロスコは、契約を破棄してしまったそうです。そして宙に浮くことになった「シーグラム壁画」は、最終的にはテート・ギャラリー(その後、現在のテート・モダン)、川村、そしてワシントンのナショナル・ギャラリーなどに分かれて収蔵されることになります。
 今回の展覧会では、(存在が確認されている)全30枚が一堂に会しているわけではありませんが、「シーグラム壁画」15枚が川村の大きな展示室の四囲に掲げられ、おそらくロスコが望んだ形にあたうる限り近づいた展示が実現されています。絵と絵の感覚がほとんどない(5センチ)のも、ロスコの絵にしては高めの場所に掲げられているのも、ロスコがこの「壁画」の設置に望んだ形だそうです。

 川村での展覧会構成は、
・第一室に「赤の中の黒」(1958年)。
 真っ白い壁のあいだにこの絵が見えたとき、あっと息を呑みました。色調が微妙に違う複数の赤(原題では"Reds"となっています)、黒い部分の滲み具合の違い、すこしだけいびつな配置など、ゆっくりと見ました。

・第二室には「シーグラム壁画」関連スケッチが奥に、そして手前にはロスコと当時のテート館長ノーマン・リードが交わした書簡が、原本コピーと日本語訳を並べて展示されていました。この書簡がおもしろい。じっくり読みました。また、テートでの配置模型もありました。

・そして第三室が15枚の「シーグラム壁画」。
 音声ガイドで、解説を聞き、そしてロスコが愛したというモーツァルトを流しながら、中央に置かれたソファに座ったりゆっくり歩いたりしながら鑑賞しました。平日の昼で、まだ会期のはじめなせいか、美術館スタッフ以外は人影がない時間もありました。

・「シーグラム壁画」を背にして出てくると、ふたたび赤が目に飛び込んできます。でもなんだか不思議。ちょっと、のっぺりしているようです。

・そして右に向かうと、ロスコ晩年の作品群[ブラック・フォーム・ペインティング]から、四枚展示されています。
 その名の通り、一見するとただの黒く塗られた画面。
 でもそこで立ち止まり、しずかに視線を注ぐうちに、黒のなかに潜む色やその形がゆっくりと現出してくる。
 これはどんな印刷物にも写し取ることができない(と思う)現象です。この展覧会のために用意された書籍(カタログ以上に、ロスコの軌跡をおさめようとしています)で見ることができるものは、はっきりしすぎている。
 ここで対話をしているのだと、しずかな戦慄を覚えながら、じわじわと相を変えていく絵を見てしばし立っていました。

・さきほどの平板な(と見えた)赤の向かいには、最晩年に描いたという「無題」(1969)があります。

 すっかり長くなってしまいました。
 でも、ほんとうに行ってみてよかった。すこしでも興味を持たれたら、ぜひその目で見てみてください。

 あとはちょっと覚書的に。
 バスをおり、チケットを手にゆるやかな坂を下りて、左へとまわりこむと、まずは大きな池が目につきます。白鳥ものんびりと泳いでいます。
 美術館は、ちょっと意外なくらいすなおな形です。
090310a-s.jpg

 そのすぐ手前にはなにかの残骸? と思えるオブジェ。よそさまでも同じような形容を発見しましたが、動く城か? ⇒リュネヴィル(フランク・ステラ)
090310b-s.jpg

 池に近い側の壁に寄り添うようにして、連れが
「椅子だよね」
と言った彫刻(「朱甲面」(清水九兵衛))が。
090310c-s.jpg

 美術館のなかに入ると、大きな白い花が咲いたような天井、ちょっと控えめなステンドグラスなどがホールで迎えてくれます。

 音声ガイドは500円で、ロスコ展はもちろん、コレクション展についても案内してくれます。お時間があればとてもおすすめ。
 101展示室にはモネをはじめとする印象派、ピカソ、マティス、シャガールなど。
 ちいさな102はレンブラントの「広つば帽を被った男」の部屋。
 103はマレーヴィッチ、モホイ=ナジ、カンディンスキーなどのロシア~東欧の前衛。
 110は日本美術で、上村松園、酒井抱一、大観、そして南蛮屏風を展示。その奥の扉を開けると茶席になっていて、ここで抹茶と季節のお菓子で一休みしました。
 104はエルンスト、シュヴィッタース、マン=レイなど。
 105はジョゼフ・コーネルのチャーミングな小箱宇宙。
 
 二階に登って最初に目にするのがバーネット・ニューマンの「アンナの光」、これだけをおさめた白い部屋でした。あざやかな赤が床にも映り込み、目には残像を残し、離れがたい場所。
 201は分割されていて、「第二次世界大戦以降の欧米美術」、わたしはサム・フランシスの「無題」の青の滲みぐあいが好き。それからフランク・ステラの部屋。キャンバスの使い方-キャンバスの形-素材-と、どんどん「外」へ出て行き、改変していくステラの元気な世界。
 202がロスコ展です。

 今回は「遠い+休憩入れつつ3時間鑑賞+食事」でほとんど歩くことができなかった自然林もある、川村はまだまだ楽しみの奥が深い場所だと思います。6月7日までか。もう一回行くのは難しいかな。
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この記事に対するコメント

こんばんは。

コメント&TBありがとうございました。

川村にあるステラ(特に立体作品)は理解不能なのですが
それを除けばとても落ち着いた、都内では味わうことのできない
空間を有した美術館です。

今回の展覧会も都内でやらずに良かったと思います。
本当に行きたい人だけが味わえる極上の空間でしたね。

お時間のある時にでもメール頂戴できれば幸いです。
【2009/03/12 22:49】URL | Tak #JalddpaA *編集*

Takさん、こんにちは。
 こちらこそ、コメント&TBありがとうございました!
 いつもブログを楽しみに拝読しております。

 美術館はもちろんですがあの環境そのものがほんとうに贅沢ですね。ちょうど晴れでもありましたし、最高の出会いをすることができました。「アンナの光」などは、くらい日にはどんな風になるんでしょうか。

 
【2009/03/13 07:42】URL | かんべえ #SqoPBuKQ *編集*
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「マーク・ロスコ 瞑想する絵画」

川村記念美術館で開催される「マーク・ロスコ 瞑想する絵画」展のプレスプレビューにお邪魔して来ました。千葉県佐倉市の南西端に位置するDIC株式会社の広大な敷地内にとんがり帽子が二つ並んだ可愛らしい外観の美術館があります。このブログでも度々登場する川村記念美術 弐代目・青い日記帳 【2009/03/12 22:39】

マーク・ロスコ 瞑想する絵画」川村美術館 ロスコ・ルームで K.593に痺れる(2)

2階に上がってまずバーネット・ニューマンと対面し、その後しばらくポロックやフランク・ステラを鑑賞。そして最後に、いよいよ「シーグラム壁画」を集めた新・『ロスコ・ルーム』が待ち受けている!「シーグラム壁画」とは、NYのシーグラム本社に設けられたレストラン「フ 日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~【2009/04/07 23:00】

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