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* thread: 美術館・博物館 展示めぐり。  * genre: 学問・文化・芸術

* category: 展覧会

ブロガー特別内覧会「あなたに見せたい絵があります。」@ブリヂストン美術館 

2012.04.08
Sun
11:28

 今年で開館60周年となる東京・八重洲のブリヂストン美術館。記念展「あなたに見せたい絵があります。」の開幕にともない、「弐代目・青い日記帳」(こちらです)のtakさんとのコラボで、ブロガー特別内覧会が実現しました。ブリヂストン美術館のみなさま、takさん、ほんとうにありがとうございました。

201203brg2.jpg
 そうか、英語タイトルは"You've Got to See These Paintings"。「この絵見なよね」って感じ? 
 美術館サイトはこちらです。

 限定100名招待の最後のほうになんとかすべりこみ、3月30日(金)夕刻にブリヂストン美術館に行ってきました。
 当日、内覧会は18時スタート、18時30分からは学芸員によるトークだったそうです。仕事の都合&電車の遅れで、19時の終了ちょっと前にようやくすべりこみました。今回の展覧会の狙いや構成などについてスライド等使用して具体的に話しておられました。早く来れたらもっと楽しかったかなあ、惜しい。

 19時すぎ、2階にある展示室へと移動。あとはフリーに見てまわれます。また、美術館スタッフが各所にいるので質問などもどうぞ、という声かけがありました。
 写真もいくつかの制約がありましたが撮影可能でした。
 というわけで、今回掲載の写真は内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。 

20120330a.jpg

 前掲の美術館サイトから、この展覧会の紹介部分を引用します。

 石橋財団ブリヂストン美術館は、2012年1月に開館60年を迎えました。これを機に、当館と石橋財団石橋美術館の両館が所蔵する絵画の代表作品109点を一堂に集め、石橋財団コレクションの粋を楽しんでいただく特別展を開催いたします。石橋正二郎コレクションから始まり、60年間積み重ねた収集活動の成果をじっくりとご堪能いただきたいと思います。


 テーマは「自画像」「肖像画」「ヌード」「モデル」「レジャー」「物語」「山」「川」「海」「静物」「現代美術」の11です。最後の「現代美術」以外は年代によるくくりを厳密に採用しているわけではなく、むしろ〔あこがれの画家の作品〕と〔あこがれた画家の作品〕が隣にかけられるなどの展示の妙もあったので、ここは混みそうな「自画像」からのまわりではなく通路左手の最後の部屋、「静物」「現代美術」から見ることにしました。

20120330f.jpg
 古賀春江「素朴な月夜」1929年作。
 素朴というにはいろんな要素が盛り込まれていて、なんとも賑やか。でもたたずむ人影がそこはかとない寂しさを醸しています。奥ではプロペラ機が墜落してってる…? 

 今回、ぜひご紹介しておきたいのは絵に添えられたキャプションです。
 新しく収集し本展で初公開された二点をのぞく絵には、
・150字以内
・小学校高学年のひとが読んで理解できる
というお約束のもとに作られたキャプションがついていました。これ、なかなかむずかしいですね! 頭がよさそうに見えるようにってなにやら専門用語を羅列し異様な深読みしなんていうのが珍しくないから(キャプションという媒介者のあやうさを笑うみたいな例と、「語りすぎ、しかも小難しく語りすぎ」な例をどちらも横浜美術館でこの一年くらいで見たことを思い出しました)。

 古賀春江さんの絵を例に、苦心のコメントを見てみましょう。

 静物画と風景画が混ざり合ったような、不思議な絵です。煙を吐きながら墜落する飛行機、体じゅうが水玉模様の少女、こちらをじっと見つめる犬の人形、テーブルの上にのっかっている家、標本のように羽をひろげたチョウやガ、テーブルの上にのっかっているのか宙に浮かんでいるのかよくわからない卵、赤いパイナップル。日常生活のなかでだれもが気づかないまま守っている約束事を、古賀春江は打ち破ろうとしています。

 せっかくだからカタログ(当日は二割引でした!)とくらべてみよう。残念ながら150字紹介はカタログには収録されていませんでした。会場でのキャプションと記述が重なる部分をピックアップして引用します(カタログp.184)。

 静物画的要素と風景画的要素を併せ持つ不思議な画面である。円いテーブルの上に載る果物や花、その下にのぞく果物の部分だけに注目すれば静物画といえるし、テーブルの先の建物や遠くの景色の部分は風景画ともいえる。しかし、古賀の意図するところは、静物画や風景画を描くというのとは別の次元にあるだろう。
 (中略)画家の立ち位置あるいは私たち見る者の視点をはぐらかすような画家の作為が隠されているという点で実験的な作品といえよう。


 どうですか?
 文体の違いはもちろんですが、150字のほうはていねいに〔描かれているもの〕をあげていくことで、たくさんある〔もの〕(やひと)のひとつひとつに目を向けて行けるように導いているのがわかりますね。

 半猫人的には、この部屋にある「猫のいる静物」(フジタ)も注目です。学芸員レクチャーでのお話ですが、〔卵の輪郭線に注目。どこから描き始めたのかわからないほどの技巧〕とのこと。たしかに、目をこらしてみてもわからなかった! 強いて言えば、というポイントはありましたが。また、〔肖像画〕コーナーにある「横たわる女と猫」も猫登場! です。毛のように細い輪郭線を使うフジタですが、猫の毛は主線なしでほわほわしているのを見てください。

 さて、最初からまわってみるか。

 20120330c.jpg
 こちらは第1室、「自画像」の部分です。
 右側は中村彝(つね)の「自画像」(1909年)。右側はレンブラント「帽子と襟巻をつけた暗い顔のレンブラント」(1633年)。最初の方に書いた〔あこがれ&あこがれた画家を隣に並べてみました〕の例です。がっつり隣じゃないところがなんとも奥ゆかしいではないですか。でも中村自画像は(目のあたりが暗いので定かではないけど)ちょっと流し目的にレンブラントさんを見てるようでもあるね。

 20120330b.jpg
 続く2章「肖像画」が見える第4室。

 第5室を抜けると左折なのですが、正面に見えるのは青木繁「海の幸」です。昨年開催の「没後100年 青木繁展~よみがえる神話と芸術」もよかったなあ(美術館による紹介ページはこちらです)。
 額縁に注目してみました。
20120330d.jpg
 魚ですね。
 あとで学芸員さんに質問する機会があったので、ちょっと額縁について聞いてみました。
・画家本人が選んだ・作ったものがあればそれを尊重する。
・所有者がかわると額縁もかわっていることがある。あまりに作品と合わないものの場合、美術館でかけかえる場合もある。

 額縁視点で他にもちょっとご紹介。ついでに猫(だよね)?
20120330i.jpg
 ゴーガン「乾草」(1889年)
 わりとよく見るタイプです。

 さらに美術館の方に聞いたのは、各展示室の色彩のこと。
 Bunkamuraのザ・ミュージアムも展覧会ごとにパネルやソファの布張りを変えて雰囲気出してるなあと思ってたんですが、この展覧会は壁そのものの色が違う。でも[物語]の部屋(「海の幸」がある)のような強い赤系もあるから、いつもこうだとは思いにくい。

 なんと、必要に応じて塗り替えるそうです。各部屋で中心になる作品を決め、その絵が引き立つように色を選び壁を塗る。色見本と実際の発色は違うし、見本の大きさと壁にしてみた大きさも違う。塗るときの養生もたいへんだし、お金もかかる。いろいろと苦労はつきないのですね。

 テーマ性のある展示室設定だったので、今回の塗り分けは見事に功を奏していると思います。
20120330h.jpg
 これは「川」をテーマにした第9室の眺めです。

 最後に、ちょっとだけ新収蔵作品をご紹介しておきましょう。
 青木の「海の幸」などがある第6室を出、ちいさな前室的空間(あえて絵は置いておらず、展覧会チラシなど)を抜けた第7室に、今回初公開された二作が置かれていました。

・ギュスターヴ・カイユボット Gustave Caillebotte (188-1894) 「ピアノを弾く若い男」(1876年)
20120330g.jpg

・岡鹿之助 (1898-1978) 「セーヌ河畔」1978年
20120330e.jpg

・・・・・・

 「あなたに見せたい」から、ほんとに楽しんでもらえるように部屋のしつらえや作品の順番など細部までこだわる。ブリヂストン美術館スタッフのみなさまの情熱と愛情の伝わるすてきな展覧会でした。

 収蔵品で構成されているので入場料も控えめな一般800円。中学生以下は無料です。
 東京駅から徒歩5分、交通の便もいい場所にあるので、ちょっと立ち寄ってみてはいかがでしょう。
  
   
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この記事に対するコメント

美術館っていいところだなあ、と最初に思ったのが10代の前半に行った、ブリヂストン美術館でした。
もう少し壁は地味だった印象があります。
その時も、子供心にスタッフの方の美術館に対する愛情を感じたように記憶しています。
父親に連れていってもらったブリヂストン美術館。
今度は私が娘を連れて行こうかと、素敵な記事を拝見して思いました。

【2012/04/08 22:15】URL | ねこてん #- *編集*

抽象的な芸術に、小学高学年でもわかるようなコメントをつけるのは、至難のワザですね。
ちょっと笑ってしまいました(^-^)
前記事のマンホールがカワイイです♪
今年はお花見にいらっしゃいましたか?満開ですよ~☆
【2012/04/10 13:49】URL | のらん #LeKMM5fY *編集*

ねこてんさん

コメントありがとうございました! 遅くなってすみません。
ブリヂストン、わたしも昔母に連れられて行ったように思います。
ピカソやロダンと並んでルオーの記憶が鮮明なのがちょっと怪しい
(というか、記憶がまざってる?)ところなのですが。

あの近くはザ・都心! ではありますが、道路も幅広で気持ちいいし、
大きな書店、フルーツパーラー、100%チョコレートカフェなどもあって
あしをのばすと楽しい場所ですね。
【2012/04/18 22:31】URL | かんべえ #z7XDr28E *編集*

のらんさん

コメントありがとうございました!
マンホールに注目ありがとうございます。続きもアップせねば。
桜、咲き始めたか? というときにまず山手公園に行き、
その後ほぼ開いてから元町公園などを歩きました。
猫ちゃんたちも満開のなかで日向ぼっこしたことでしょうね。
【2012/04/18 22:33】URL | かんべえ #z7XDr28E *編集*
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