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* category: 展覧会

アンドレアス・グルスキー展に行ってきました 

2013.07.05
Fri
21:10

 国立新美術館にて開催中のアンドレアス・グルスキー展のプレス内覧会に、縁あってお邪魔してきました。
 グルスキー、という名前を知ったのはつい最近。オープニング・内覧会の招待状が届き、同封されていたインビテーション・カードに息を呑みました。

invgrsky.jpg

 この黄金の空間はなんだろう? 丸い黄金の球は照明器具なのかな? そして右下にちいさくうつっているボートと人影は?
 同封のチラシにも使用されている作品です。チラシの右下にはタイトルがあります。
「カミオカンデ」(2007)。
 カミオカンデって、あれだよね? 超高速分子分解装置(ちゃんと調べると「ニュートリノ観測装置」とありました)。ここは日本なの?
 
 運良く、火曜日は仕事を入れていない日。絶対行こう、と決めていました。
 その後、決まりを守っての撮影OKというプレス内覧会にお声がけいただき、行ってきたというわけです。


・・・・・
 
 グルスキー自身が選んだ作品65点展示されています。「展示会場は、初期から今日までを回顧する年代順ではなく、独自の方法にしたがって構成させます。初期作品と申告、そして、大小さまざまな写真を並置する斬新な展示」(チラシから引用)であるため、個々の作品だけでなく展覧会という空間そのものがひとつのインスタレーションのようでした。

 イヤホンガイドを借り、主催者挨拶やグルスキーの紹介を眺めて右に折れ、最初に目に入ってきたのが、本の一部?
201307g2.jpg
 あたりまえだけどドイツ語らしく、なにが書かれているかわかりません。
 タイトルは? と探すと「無題 XII no.1」。むう。
 しかもタイトルのキャプションはごくごく小さく(A6ぐらい?)、かつ作品そのものとはかなり離れた場所にありました。これはこの展覧会での基本で、〔まず作品を見て。感じたり、考えたりして。それから、見たければタイトルを見て〕ということ、かな。だから、実際は紹介というよりは自分用メモかな。ご了承ください。

 さて、この作品の場合は、横の壁に解説が置いてありました。最初の一枚だからかな?
 テクストの冒頭はこんな感じです。

「水面の水蓮が、葉と花、白と緑からだけでなく、『柔和に横たわる』ということからできているように。通常それらは、非常に静かにそこにあるので、もはやその全体が気づかれることはない。世界が整然としてあり、理に適った関係によってのみ支配されるためには、感情は穏やかでなければならない。 それは、ある別の場への人類全体の下降と上昇、言わば『高みへの下降』であり、あらゆるものはこれに調和して変化する」(以下略)
 
 解説を引用します。

「本作品は、既存の本のページをそのまま写しているように見えますが、グルスキーが作り上げた実際には存在しないページです。グルスキーは、ローベルト・ムージルの未刊の長編小説『特性のない男』(1930~42年)から文章を抜き取り、それらをつなげてひとつのテキストにしました。そして、これを活字に組んで、写真を作るのと同じ方法で印刷させたうえで撮影したのです」

 
 そうか、「ない」ものを「作った」のか。
 でも、活字を組んで印刷したら、それはもう「本」だよね? 『特性のない男』ではないにしても。
「なかった」はずの本は、ここで、実在するものになったと言えるのではないか?
 ここで、
・サイズ感(こんな大きな本はないよ! という巨大さに意図を感じる。ちょっと展示室内を見回すと、風景写真なのにもっとちいさな作品もあるのですから)
・なにが「現実」か。あるいは、「写真」って、なんなのか。という問いかけ。あるいは揺さぶり。
を感じました。

・「カタール」(2012年)
 会場にあったもうひとつの「黄金」。中央左の下方には、半透明のテントのようなものに包まれ、四つんばいになっているようなひとがいます。
 黄金の圧倒的スケール感と、対照的なちいさな人間。「カタール」という2012年の作品で、今回の展示では最新のものです。液化天然ガスのタンクを空にしたときに撮影した、だったかな。

「カミオカンデ」(実際に撮影したのはスーパーカミオカンデ)にも通じる世界です。「カミオカンデ」は、展示室内で配布されている作品一覧に添えられた説明によると、「直系39.3m、高さ41.4mの巨大な円筒形のタンクの内側は、光電子増倍管と呼ばれるセンターで覆われ」ているそうです。検査修理のため水(5万トン入る)を抜いたときに撮影。グルスキーは撮影後の画像処理で水を張り、二隻のボートと人影を加えたそうです。

 この黄金の二作品、どうもわたしはオペラの世界を思い出して仕方ありませんでした。「カミオカンデ」のほうは『ローエングリン』なんだけど、これはたぶん『ローエングリン』の世界を愛したバイエルンのルートヴィヒ王を題材にしたヴィスコンティの映画『ルートヴィヒ』の影響なんだろうな。「カタール」は漠然としたイメージなんだけど、たぶん『ニーベルンクの指輪』の地底世界かな。

 グルスキー展、すごくいろんなことを考えさせられました。
 なんとなく、あんまりいろいろと作品のことを言わないほうがいいように思いますので、あとは展示などについてのメモです。

・作品ひとつひとつを楽しむだけでなく、向かい合う作品を見比べ、隣り合う作品を見比べ、区画をひとつの単位として見、通路を介しての区画をまたいで見、休憩室をまんなかにはさんでの前半と後半を考え、そして全体として見て。「引き」から「ズーム」まで楽しむといいな。

・カタログは美しいけど、作品についての直接的情報はあんまりない。情報がほしいひとはオーディオガイドや展示品リストを補助に。

・比較的新しいシリーズ、「バンコク」がさまざまな場所に配置されて通奏低音のよう。
・グルスキーの「緑」には確固たるものがあるな。現実を「写す」ことではなくて、自分のなかにあるヴィジョンを具現化するタイプだから、自分にとっての「緑」はこの色、って決めているのかな。

201307g4.jpg
 右手に写っているのは「オーシャン」シリーズ。「衛星から撮られた高精度の画像を、何カ月にもわたって丹念に加工しました」(作品リストより)このすぐそばに、詰め詰めの写真があるんだよね。


201307g5.jpg
「バーレーン」(大好き)を背にして立つと、二枚の「証券取引所」写真が見れます。動きとか、色とか対比させて見るとまた楽しい。


201307g6.jpg

201307g7.jpg

・・・・・
「アンドレアス・グルスキー展」は国立新美術館で9月16日(月・祝)まで開催中。その後、大阪に巡回します。
公式サイトはこちらです。情報をこのサイトから引用します。

会期:2013年7月3日(水)~9月16日(月・祝)毎週火曜日休館
開館時間:10:00~18:00 金曜日は20:00まで 入場は閉館の30分前まで。
会場:国立新美術館 企画展示室1E
 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
主催:国立新美術館、読売新聞社、TBS、TOKYO FM
後援:ドイツ連邦共和国大使館、 東京ドイツ文化センター、 InterFM
協賛:大日本印刷
特別協力:ぴあ
協力:全日本空輸、Sprüth Magers Berlin London 
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