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* category: 展覧会

忘却の海へ漕ぎだす@ヨコハマトリエンナーレ2014・横浜美術館(2) 

2014.08.16
Sat
12:37

 ヨコハマトリエンナーレ2014夜間特別鑑賞会の記事、その2です。

「忘却の海」漂流記は前の記事で紹介した「序章」と、11の挿話からなります。横浜美術館にはこのうち(序章&)第1話から第7話があります。これは本の構成にも似ていて、新港ピアにある第11話まで通読するとひとつの物語になるといいます。トリエンナーレのようなタイプの催しでは作品とテーマの関係が往々にしてよくわからないけれど、この〔ものがたり〕が底流となって新港ピアまでひとつの世界を形作っているという構成です。

 この「おはなし」としての筋立て。ことば、の大きさ。
 キュレトリアルヘッドの天野さんが紹介してらしたのですが、
「これは展覧会だね」
と、いわゆるクロウト筋に言われたそうです。

 うん。展覧会、わかる。
 前もって天野さんのこうしたお話を聞いたし、『華氏451度』だし、イヤホンガイドも聞きながら鑑賞したしということで自分の関心が〔ものがたり〕に向いていたことは大いに関係あると思うけど、「これは展覧会だね」というのには賛同します。
 ヨコハマトリエンナーレは2011、2005、2008、2011に続き今回が5回目。第一回以外は一応見てきました。2011は開催前段階の部分だけどボランティアとしても関わったし(地図チームでした)。
 前回までのを思い出してみても、
 テーマ と 個々の作品
 という関係性はあっても、
 作品 と 作品 
 作品 と 展示空間全体
 展示空間同士
 などの関係性に注目したことはありませんでした。印象に残っているのはあくまでも個々の作品でした。また、ネットで関連情報などざっと見てみても、そういう視点からの企みや評価は、すくなくともすぐに目につくものではないようです。
 この形、楽しいな。というか、いろんな発展性があるし掘ってもいけるな。わたしとは相性いいみたいです。

 でも、先入観なしに身ひとつで作品と向き合うことも楽しいしたいせつなので、
・まず自分だけで歩く
・それから、森村さんが語るイヤホンガイドを聴きながらまわる
がいいんではないかと思います。今回時間切れっぽくなって駆け足になってしまった「第7話」や、新港ピアの展示ではそうしようと思います。

 今回、駆け足で鑑賞したヨコトリ2014(@横浜美術館)は、視覚の優位性はどうしてもあるんだけど、「聴く」、そしてすこしだけど「触れる」にも思いを馳せるものでした。あと、展示の仕方・並べ方。
 そんな意味で印象に残った作品をすこしご紹介します。

・聞こえてくるのは?
 展示室、最初のほうはむしろ白黒とかモノトーンとか、すくなくとも押さえた色調とか、ジョン・ケージのあの「4分33秒」の楽譜(楽譜があるとは思ってませんでした。というか、あるけど♪は書いてないと思ってた)など、
〔ここにこの作品を出現させるために、捨て去った無数のことども〕
についておもうような作品が並びます。
 でもそんな鑑賞者の耳に届く音がある。
 なんか、話してるの? 外国語だ。でも交互に聞こえるのは、まさか猫? いや、赤ちゃんの泣き声?

・フェリックス・ゴンザレス=トレス 
 二種類の紙の山。ひとつはブルー(このページで紹介されています)、もうひとつは赤地に黒い枠。書いてないけど、この紙には自由に触れて、持ち帰ることもできます。でもなぜか写真はNG。参加してね、ここに来て一緒に作ってね、という意志かな。
 小心者なので、看視員さんに確認してから触れてみました。ぱらぱらマンガみたいにめくってみたり。ブルーのほうは薄くて軽やか。副題はBlue Mirrorだっけ。そして赤+黒はなかなか重厚。ちょっとざらついてるようにも感じます。メモしそびれましたが、副題はNRA(ライフル協会)と書いてる方がネットに。
 しばらく感触を楽しみ、そうしたければ自分用に一枚ずつとか取りながら、イヤホンガイドで森村さんが語る逸話を聴くとまたいいよな。

・もえないことば (Moe Nai KoToBa、装幀:渡辺和雄、製本:大家利夫、収録:志賀理江子ほか)
 一冊の本です。
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 ずいぶん大きい。そして表紙をゆっくり触れてみるだけでも、これは豪勢な作りだなとわかる。立って読む(あるいは見る)こと、書見台そのものに高さがあり、ほんの4段(か3段)だけど木枠で囲まれた特別な場所に立つ必要があることなど、キリスト教の大きな典礼書を思わせました。
 中身についてはトリエンナーレのサイトを引用します(このページ)。

 レイ・ブラッドベリの小説『華氏451度』へのオマージュとして特別に作られる“世界でただ一冊の本”。スターリン政権下に口伝で残されたアンナ・アフマートヴァの詩など7本のテキスト、ナチスの爆撃を避けて空っぽになったエルミタージュ美術館を描いた素描、志賀理江子の写真等を収録。会場で自由に閲覧できる。
 
yt201403f.jpg
 アフマートヴァ「レクイエム」部分の表紙。どこが引かれているのか、それとも全文なのか(長詩ですが)残念ながらわたしにはわからないけど、英語訳が掲載されているページを紹介しておきます。

 ひとり上限2分、ということで、表紙を撫でたあとさっとページをめくり、何枚か写真を撮ることしかできなかったのですが、何枚かご紹介します。
yt201403i.jpg

yt201403h.jpg

yt201403j.jpg

 配置について。会場で偶然あったお友だち・Cちゃんにご出演いただいて。 まるで向かいの〔十字架〕に向かっているみたいじゃないですか? 実際、このMoe Nai Ko To Baは朗読イベントもあるので、そのときにはさらにこの対比が意識されることになるでしょう。

・「ビッグ・ダブル・クロス」 エドワード&ナンシー・キーンホルツ(1987-89)
yt201403k.jpg
 十字架型の枠のなかにそびえ立つのはミサイル。ぎらぎらと輝いてる。

・配置つながりで、奈良原一高『王国』シリーズより、トラピスト男子修道院を写した《沈黙の園》、女子刑務所に取材した《壁の中》。モノクロの写真セットです。二枚ずつがペアになる形で展示されています。これもぜひ、一通り見てから森村さんの語りを聴いてほしい。
 モノクロ写真もまた、「捨てる」技術ですね。捨てることによってくっきりと見せたいものがある。

yt201404k.jpg
yt201404h.jpg
・毛利悠子の〔楽器〕(タイトル失念)の部分です。横長の展示室の真ん中寄りに組み立てられた装置が、空気中から集めた塵によって自動生成された楽譜にしたがってうみだす音。オルガン、たいこ、ベルなどが。ゆるやか。

 最後に、これも作品の一部です。
yt2014extra.jpg
 グレゴール・シュナイダー「ジャーマン・アンクスト」部分
 ざらざらしたブロックの手触りや、密閉された空間の蒸し暑さとか、壁が迫ってくる感じとか。順路で言ったらこれが横浜美術館パートの最後なのかな? さて、次の「おはなし」はどんなものでしょう。

 とりあえず今回の記事では「みる」ことでは終わらない作品に注目して紹介してみました。
 猫については後日、包括的記事にてご紹介予定です。でも言っておこう。猫はどこ? もけっこう張り合いありますよ。
 そして、Art Scapeにおさめられた森村さんインタビューもすごく面白かった。ヨコトリ見てから読むほうがいいかもですが、ご紹介しておきます。

・・・・・〔展覧会概要〕・・・・・
会期:8.1[金]-11.3[月・祝]   開場日数:89日間
※休場日:第1・3木曜日(8/7,8/21,9/4,9/18,10/2,10/16,計6日間)
開場時間:10:00-18:00   ※入場は閉場の30分前まで
(8月9日[土]、9月13日[土]、10月11日[土]、 11月1日[土]は20:00まで開場)
主会場:横浜美術館、新港ピア(新港ふ頭展示施設)

アーティスティック・ディレクター:森村 泰昌

主催:横浜市、(公財)横浜市芸術文化振興財団、 NHK、朝日新聞社、横浜トリエンナーレ組織委員会
支援:文化庁(国際芸術フェスティバル支援事業)   文化庁(国際芸術フェスティバル支援事業)   特別協力独立行政法人国際交流基金
後援:外務省、神奈川県、神奈川新聞社、tvk(テレビ神奈川)、スペイン大使館、駐日韓国大使館韓国文化院、中華人民共和国駐日本国大使館、Goethe-Institut Tokyo、東京ドイツ文化センター、ベルギー王国大使館
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