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* category: 展覧会

『ファッションとアート 麗しき東西交流』@横浜美術館 内覧会に行ってきました 

2017.04.27
Thu
15:18

 横浜美術館で6月25日まで開催中の『ファッションとアート 麗しき東西交流』展(公式サイトはこちら)で開催されたミニ内覧会に参加してきました。夕刻に集合、別室ですこし展覧会の意図やこぼれ話をうかがってから、イヤホンガイドを手に(耳に?)担当学芸員さんについて展示室をまずまわります。そして閉館後には部屋ごとに区切って自由鑑賞および撮影(一部NGあり)タイムに。
 関係者のみなさま、すばらしい機会を与えてくださりありがとうございました!

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*展覧会カタログ。
 チラシよりも英語タイトルがわかりやすいので選んでみました。
 The Elegant Other: Cross-cultural Encounters in Fashion and Art"
 原題の「麗しき」は英訳にはないのですが、代わりに"The Elegant Other"(「優雅なる他者」とでもいうのでしょうか)という文言が。横浜をゲートとし、〔外〕から入ってきたもの。そして〔外〕へと出ていったもの。こちら(日本)にもあちら(欧米)にも、海を隔てた相手へのあこがれ、麗しいなあ……真似たい、あんなふうになりたい、というまなざしがあった。ということを示唆しているのだと思います。

 チラシ、カタログの表紙、美術館の外に置かれた看板エトセトラに使われるこの図版は、
・ターナー〔イギリス〕デイ・ドレス/1872年頃/京都服飾文化研究所(以下KCI)蔵
です。 形はまごうことなきドレスですが、布の意匠や刺繍は和風ですよね。それもそのはず、このドレスは綸子の小袖をほどいてバッスルスタイルにしたものだそうです。
 西洋→日本という流れだけでなく、日本→西洋。そして、その両方があってこそ生れたドレスがキービジュアルになっているのも納得です。もちろん、このドレス自体のすばらしさ美しさがあってことだけれど。

 いただいたプレスリリースも参考にしつつ、個人的〔みどころ〕をあげると。
・ドレス美しい! 細部まで見るのが楽しい。

・横浜で生れ、海外へ出て行った工芸品も一緒に展示されていたりする。初代宮川香山の花瓶やカップ&ソーサー、芝山細工の屏風や飾棚(開港記念資料館で昨年開催された芝山漆器の展覧会紹介はこちら)……。
 特に、椎野正兵衛商店(S.SHOBEY)のドレッシングガウンが嬉しかった。2002年に四代目が再興したお店のものではありますが、わたしも何枚かスカーフ(&ちいさなバッグ)を持っているからです。→ ウェブサイトはこちらです。

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・手前のケースに初代香山のカップ&ソーサー、衝立は芝山細工、手前と奥の女性用ドレスは椎野正兵衛商店の輸出用室内着(ギャラリートークでうかがった話ですが、現在の所有者のKCIが海外で購入し調べていたら、SHOBEYのタグが出てきてわかったとのことです)。
 このように、ドレスだけを展示するのではなく、「人がその事大空間に立ち現れているようにしたい」(ギャラリートークより)との狙いを具現化した展示も何場面かありました。

・絵画や版画などから、どのように「あちら」のものが受容されていったかうかがえる。
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*左:月岡(大蘇)芳年 <<風俗三十二相 遊歩がしたさう 明治年間 細君之風俗>> 1888年 KCI蔵
 右:月岡(大蘇)芳年 <<見立多似尽 洋行がしたい>> 1878年 KCI蔵
 右は全体で見ると着物姿なんだけど、その下にシャツ着てたり、模様がチェックだったり。楽しい。
 これを見て朔太郎の「ふらんすへ行きたしと思へどもふらんすはあまりに遠し/せめては新しき背広をきて/きままなる旅にいでてみん」を思い出しました。『純情小曲集』に入っている「旅上」の冒頭ね。1925年刊なのでだいぶあとのものではありますが……。

 では、ここからは写真+紹介(とコメント)で。
*このブログ記事に掲載した写真は、展覧会紹介記事に掲載するため特別の許可をえて撮影したものです。


・第1章 東西文化の交差点 YOKOHAMA
 上で紹介したS.SHOBEYのドレスなどもこの章です。
 
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 日本製 輸出用ティー・ガウン〔リバティ商会取り扱い(推定)〕 1895年頃 KCI
 ラファエル前派の絵画を思わせる中世風のハンギング・スリーブのドレス。でも刺繍は菊。ピンクの色合いがきれいでした。

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 左:日本製 輸出用イヴニング・コート 1903年頃 KCI
 右:飯田高島屋 輸出用イヴニング・コート KCI
 白(っぽい)地に白っぽい糸で刺繍ってぜいたくなおしゃれ。
 このどちらか(ぜひ現物を見てね!)に浜千鳥の意匠が用いられているのですが、デザイン化されてるし、西洋のひとは鳥だってわかったのかな? と考えながら見るのも楽しい、という内容の学芸員さんコメント。 


・第2章 日本 洋装の受容と広がり
*上で紹介した版画はこちらのセクションから。
 
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 五姓田義松<<細川護成像>> 1887年 横浜美術館
 油絵+洋装の日本人を描いた一枚。渡欧時の肖像をあちらに留学していた画家に描かせたもの。

 このセクションに展示されていた鏑木清方の絵が美しかったし興味深いのですが、写真NGでした。
 外国の楽器でヴァイオリンがよく手にされているのは、持ち運びのたやすさももちろんあるだろうなあ。
 と、ついでに、〔朔太郎は日本で最初にマンドリンを演奏したひとのひとりであった〕というトリビアを思い出しました(またもや時代がぐっと下がるわけですが)。

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 薔薇柄の着物とか帯とか。着物姿でも、帯にちょっと工夫するぐらいなら「許される」という感覚があったそうです。そこから徐々に大物(着物そのものとか)になっていくのね。
 右のぱっきりしたデザインの葵桐花文様の道行コート(KCI蔵。昭和初期)では、与謝野晶子の『みだれ髪』装丁を思い出したよ。1901年出版。

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 髪飾りや指輪などの装身具も、横浜美術館では初めて展示するそうです。
 ハイジュエリーは現存するものが少ないそうです。戦争で金属を供出した時代を経ているし。

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 そして圧巻の、
 日本製 昭憲皇太后着用大礼服(マントー・ド・クール) 1910年頃 共立女子大学博物館蔵
 トレーンの長さは3m30cmで、成人男性五人が持ったそうです。
 ベルベットのマント、ブロケードのドレス、菊の模様。菊は明治になって、皇室だけのものとなっていったそうです。

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 別の角度から撮ってみました。
 絵画は
 グイード・モリナーリ<<正憲皇太后肖像>> 1897年 東京都庭園美術館
です。お隣には同じくモリナーリの手による<<明治天皇肖像>>。 
 
 横浜美術館、この展示室は一回廊下的スペースに出てからまた入る位置にあり、角度も工夫してある正方形で、「キメ」に使うときあるよね。篠山紀信の『写真力』では百恵ちゃんの写真がこの部屋にあったことを思い出しました。

第3章 西洋 ジャポニズムの流行

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 キービジュアルのドレスも登場。
 この展示室、面白いです。入って右手には日本製テキスタイルのドレスが並び、

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 手前:ドゥーセ(フランス) デイ・ドレス 1890年頃 KCI蔵
 奥: ドゥーセ(フランス) デイ・ドレス 1893年頃 KCI蔵

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 左手には西洋製だけれどテキスタイルやデザインに日本文様が取り入れられているドレスが並びます。

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 フランス製 ヴィジット(コート) 1890年頃 KCI蔵
さまざまな日本的「モチーフが絹糸で織り出された別布をコード刺繍でアップリケ」(カタログp.99より)。
 わかりやすい部分を大きめに写してみたつもりですが、わかりますか?

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 アメリカ製シャトレーヌ(腰飾り)いろいろ。
 1880-90年頃 三菱一号館美術館蔵

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 アシンメトリー(左右非対称)は「西洋には見られなかったもので、日本の美術・工芸品、あるいはきものから影響を受けたと思われる」(カタログp.100)
 ドゥーセ(フランス) デイ・ドレス 1897年頃 KCI蔵 

 きものの形は西欧(まずはパリ)のモードにも大きな影響を与えました。カタログから引用。

 20世紀初め、コルセットからの解放を願っていたパリ・ファッションは、きもののゆとりに目を向けた。女性を苦しめたコルセットはポール・ポワレによって流行遅れとされ、デザイナーたちはゆったりとした打掛を思わせるきもの風コートや、きもの風打合せ、帯風ベルトなど、きものに影響を受けたシルエットを発表した。抜き衣紋、裾を引いた着こなし、まゆ型(コクーン・シェイプ)など、こうしたスタイルは浮世絵に描かれたきもののイメージそのものだった。ファッション雑誌では女性たちが、コートを抜き衣紋で着こなし、お引きずりのように長い裾を引いている。振り返るポーズは、見返り美人さながらだった。
(カタログp.106)

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18見返り美人

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 エイミー・リンカー(フランス) イヴニング・コート 1913年頃 KCI

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ジュール=ジョセフ・ルフェーヴル(フランス) <<ジャポネーズ(扇のことば)>> 1882年 クライスラー美術館蔵

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チャールズ・ウェブスター・ホーソーン(アメリカ) <<キモノを着て坐る女性>> 1923年頃 クライスラー美術館蔵

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 ここで突然?
 内覧会で話題沸騰だったトラキチてきコート。まるで羽織。虎ズちゃんとシンメトリーなのだよ(で、『クライングフリーマン』という古いマンガを思い出しました)。
 バンゴン夫人(フランス) コート 1924年頃 KCI蔵
 虎の柄をバティック染めしてるそうです。
 
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 左:シャネル(フランス) イヴニング・コート 1927年頃 KCI蔵
「黒と緑のグラデーションの絹クレープに、金糸で菊文様を織り出している」とのこと(カタログp.124)。 
とても繊細。この質感、ぜひ実物を見てほしい。

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 右:モリヌー(フランス) イヴニング・ドレス 1926年頃 KCI蔵
 菊文様の織り出し。図案化した菊も美しいしリズミカルだし、なにしろこの織りに触れてみたい。

 最後の陳列のテーマは「平面の発想」です。カタログから引用します。
 
 第一次世界大戦後、服には活動性や機能性が最重視されるようになり、現代の服へと大きく変貌を遂げた。ヴィオネは、きものから触発された新しいデザイン概念を結実させた。直線的、平面的なデザインを提案し、1920年代、ウェストを締めつけない長方形の筒型シルエットとなってファッションを牽引した。
 また、これら平面的な服の素材として使用されたのが、アール・デコ期の装飾美術界で注目されていた漆や蒔絵のデザインと質感を思わせるテキスタイルや日本的な柄だったことも、この時代の服と日本との繋がりを幾重にも湿している。

(カタログp.132) 

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 右(上掲の記述に該当):マドレーヌ・ヴィオネ ウェディング・ドレス 1922年 KCI
 左:キャロ姉妹店(フランス):イヴニング・ドレス 1922年冬 KCI

 と、この展覧会を見て記事書いているうちに、むくむくと「新しい服がほしい」という気持ちになってきました。それも、布から選んだり……危険な衝動です! 今年は旅行の年だから誘惑に負けないようにしなければ。


[基本情報]
会   期:2017年4月15日(土)~6月25日(日)
会   場:横浜美術館
開館時間:10時~18時 (入館は17時30分まで)
      ※夜間開館:5月17日(水)は20時30分まで(入館は20時まで)
休 館 日:木曜日 (※ただし5月4日[木・祝]は開館)、5月8日(月)
主   催:横浜美術館(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)
       公益財団法人京都服飾文化研究財団
       日本経済新聞社
後   援: 横浜市
特別協力: 株式会社ワコール、三菱一号館美術館
協   力: 日本宝飾クラフト学院、公益社団法人服飾文化研究会、みなとみらい線、横浜ケーブルビジョン、FMヨコハマ、首都高速道路株式会社
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